(1)神原文庫所蔵清末四川説唱本の提要作成作業を進めた。(2)現存数が少ないとされる同治年間のテキストの特徴について興順堂刊本を取り上げて分析した。(3)四川や湖南等の内陸部で流行し、更に各種媒体を介して全国的に流布した『滴血珠』を中心的に取り上げ、女性たちの訴訟に関する物語がどのような形態とプロセスで人々に受容されていったのか、出版と流通・アダプテーション・故事内容と清代の訴訟制度との関連性・公案物(裁判故事)の流行・宣講の芸能化・実社会における女性たちの訴訟状況等を通して考察し、裁判が社会の一つの制度として民間に定着するプロセスに、説唱本等の文化メディアが大きく寄与したことを明らかにした。
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