研究課題/領域番号 |
18K12313
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
池田 智恵 関西大学, 文学部, 准教授 (60580959)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 武侠小説 / 中国近現代通俗小説 |
研究実績の概要 |
2021年度は、1940年代後半の近代通俗小説の発展について、『竹本健治編 変格ミステリ傑作選【戦前篇】』(行舟文庫 2021年8月)に1940年代上海の探偵小説作家孫了紅の短編小説「真偽の間」を翻訳して掲載し、短いながらも孫了紅についての紹介記事を執筆し、一般に近代中国の探偵小説を紹介した。 また、台湾の輔仁大学の中国文学科と台湾通俗小説研究会と共に、「2021臺、日青年學者通俗小説與文化研究會議」を開催した。日本側からは7名、台湾側からは14名が発表者、コメンテーターとして参加し交流をおこなった。池田も1940年代における上海の雑誌と読者投稿欄について「重新開啓人生的讀者ーー以《伉儷》讀者投稿欄為例」をタイトルとして研究発表を行い、意見交換をした。 また2022年1月23日には神戸外国語大学主催のワークショップ「文学/文脈/声の痕跡ーー20世紀東アジアにおける言説の輻輳性」に共催として参加し、「表層の「物語」、深層の「真情」ーー『天涯客』から『山河令』へ」と題した研究発表を行い、1940年代に大きく花開き、現代にまで人気のある武侠小説の現在のネット小説やネットドラマについて発表を行った。この研究は、科研のテーマとは関係がないように思われるが、1940年代の研究において研究者は、読者と雑誌の関係について考えている中、中国に現地調査に赴けない中において、現在存在する読者(観衆)とテキスト(ドラマ)の間に中国大陸で出現した新しい動きについて注目すべきと考えて研究の方針転換をしながら着目した次第である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウイルスの流行により中国大陸での現地調査が実質上不可能であり、国内での資料、またすでに収集してきた資料で進めている研究も、資料的側面から大きく見直しを迫られており、具体的に論考のための資料が欠けていたりと、論文としてなかなか発表できない。かつ、大学内での業務において、ハイブリッド授業などの煩雑さが重なり、精神的にもあまり良い状態ではなく、また家庭環境において子供の小学校の休校や休園が大学の夏休み中に相次ぎ、ほとんどフリーの研究時間をとることができなかった。研究活動が著しく遅れており、研究方針を大きく変えざるを得ない状態になっており、この一年はほぼ足踏み状態でいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、現在読み進めている1940年代の恋愛小説についての研究をなんとか形にし、次には国内の大学に存在している探偵小説資料(香港の雑誌、大阪市立大学にあることを確認済み)を扱って、1940年代の探偵小説と上海における恋愛小説の変遷として纏めたい。当初山東省の資料を北京に見に行く予定であり、そのための予備計画もしていたが、大陸に現地調査に入る見込みがつかない以上実質的に不可能である。 香港と上海の1940年代に注視しながら、現在における新たな観衆とテキストの関係にも注目しつつ研究を推進したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国への現地調査ができなかったため。現地調査が可能になれば使用する。
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