研究課題/領域番号 |
18K12313
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
池田 智恵 関西大学, 文学部, 教授 (60580959)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 通俗小説 / 近代中国 / 言情小説 / 探偵小説 / ネット小説 |
研究実績の概要 |
コロナウイルスの全世界的な流行により、オンライン授業の負担などから一時は研究確保の時間が難しく、かつ中国への調査は行えないため、特に山東省の新聞の調査は不可能となり、大きく研究計画は変更を余儀なくされている。 現在は当初の予定である、①1940年代末における通俗小説の諸相を明らかにすることと、新たに②昨今のインターネットの中で出現してきた中国のインターネットノベルについて考え、中国に渡航しなくても可能な研究を続け、現在はできる限り論文の形で研究をまとめている。②に関しては、研究者はこれまで近代の新たな雑誌メディアに注目して通俗小説について研究を行なっており、新たなメディアと新たな文化の生成について考えてきた。②を行うことは、現在における新たなメディア(インターネット)とそれから出てきたエンターテインメントのについて考えることであり、問題意識は通底している。現在このネット小説は中国で多くのファンを獲得しており、多大な影響力を持っていると考えられる。そのドラマ化なども非常に注目されている。今後の一つの研究の可能性として萌芽的な研究になってしまうが、ネット小説の資料などを読み込んだ。 ①に関しては、これまでの収集した資料を活用し、1940年代末に流行した林淑華の恋愛小説(言情小説)『生死恋』についての論文を執筆した。この論文によって、『生死恋』は上海における女性雑誌とそれに連載されていた小説が、雑誌上において作者と読者との相互作用の中に存在していたことが明らかになった。当時における読者と作者の相互作用という新たな視点の研究になっている。この論文は、雑誌に発表すると同時に、台湾でも学会発表を行なった。また1940年代の探偵小説についてもイタリアにおいて発表をし、論文は台湾で出版予定である。 ②に関してはイタリアにおいて、昨今のインターネット小説についての概要をまとめて講演を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行のため、中国大陸への調査の渡航ができず、授業負担や育児負担などから精神的に不調になり、当初予定した1940年代における武侠小説の調査は断念せざるを得ず、メディアの変化と通俗小説の変遷という角度から研究計画を練り直したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、論文としてまとめることを重点に置き、かつ予定していた台湾との交流シンポジウムを一度コロナウィルスのために断念しているので、延長していただいた期間をつかって2024年1月に早稲田大学で台湾の研究者との通俗小説のシンポジウムを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外への調査が行えないことにより未使用額が生まれたが、これは2024年1月に行うシンポジウムの費用とする。
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備考 |
以下、講演を行なった。 (講演)網文在做甚麼梦?:当下中国的網絡与網絡小説; Dipartimento Istituto Italiano di Studi Orientali, Sapienza Universita di Roma (Rome) 11月23日 Laboratorio2
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