研究課題/領域番号 |
18K12320
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
畑中 杏美 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (60791580)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 老い / 小説 / 自伝 / 伝記 / ミュリエル・スパーク |
研究実績の概要 |
今年度も世界的な感染症拡大のため勤務校の方針に従い、海外渡航による調査をすることができなかった。しかし、研究の手法を変更し、研究室でじっくり作品を読む時間をとり、作品に関する考察を深める時間をとることができた。 今年度は学会でのシンポジウムで成果を公開した。シンポジウムでは、ミュリエル・スパークの自伝で描かれるアフリカ体験について考察を行った。その際、マーティン・スタナード著のスパークの伝記作品との比較を行った。アフリカでの就職活動と、その際に英国国教会つきの学校の校長と面接したことについて、スタナードの伝記には記述がない出来事をスパークが自伝に書いていることに注目した。スパークは自伝を利用して自己の生涯を巡礼の旅として表現しようとしている可能性があることを示した。 本研究課題はイギリス小説における老いのイメージについて探求するものであるため、19世紀の小説についても研究をすすめている。シャーロット・ブロンテの作品を中心としたブロンテ姉妹の作品を読み、考察している。また、ジェイン・オースティンの小説における老齢の人々と、彼らに示される「ケア」についても考察をすすめている。 老いのイメージを探求する際に、老齢の人々をとりかこむ環境や人々についての研究をすることで、さらに小説作品における老齢の意義について考察が深まるものと思われる。昨今着目されているケアの倫理についても学びながら、研究を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の手法等について考慮し、作品の読解を中心にしたため、研究のスピードとしてはやや遅くならざるを得ないため。
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今後の研究の推進方策 |
令和三年度は、研究成果の発表の機会が口頭発表のみであった。令和4年度は論文として文字に残る形での成果発表を意欲的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外渡航のみならず、国内の学会もオンライン開催となった。そのため旅費での予算執行額がない。 来年度は、学会が対面で開催された場合は意欲的に参加し、もし海外渡航が許されれば調査を行いたい。 旅費の執行のめどが立たない場合は、書籍の購入にあて、計画的に予算を執行する。
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