孤独という概念は、誰しもが生きる上で経験する普遍的体験であるが、本研究はこの普遍的と考えられがちな概念を「19世紀アメリカ文学」という地理・時間・表現形態に限定したうえで考察を行った。本研究から導きだされたのは、孤独は時代や文化背景によって決定される環境依存的なものであるという点であると同時に、19世紀アメリカで生まれた孤独は、現代のグローバル世界、ネットワーク社会において経験される孤独と連続性をなしているという点であった。その点から、本研究は単に19世紀アメリカ文学研究という専門領域に閉ざされるものではなく、より広く一般の興味関心に訴えかけるものがあると言える。
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