本研究「シェイクスピア後期作品群における女性表象の政治性について」では、ロマンスと歴史劇から成る一連のウィリアム・シェイクスピアの後期作品群と、 同時期の政治情勢、人々の政治・社会認識の関係を解明し、シェイクスピア後期作品群の文化的・社会的意義について新たな見解を呈示・論証する。本研究は四部構成である。第一部「1610年代の政治言説」で当時の人々の政治・社会認識を調査した上で、第二部「後期劇と宗教」と第三部「後期劇と軍事主義」において、シェイクスピア後期作品群に登場する女性表象が帯びていた時事性の分析を行い、第四部として、本研究のまとめを行った。シェイクスピア後期作品群が1610年代の政治情勢とどのように関係し、また当時の観客たちにとってどのような政治的・文化的な意義をもった作品でありえたかを、同時代の他の劇作家たちの例も交えながら論じた。研究成果をまとめた論文は現在学術誌に投稿している。
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