研究課題/領域番号 |
18K12356
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
近藤 亮一 弘前大学, 教育学部, 講師 (30803225)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 史的統語論 / that痕跡効果 / 反that痕跡効果 / Labeling Algorithm |
研究実績の概要 |
本年度は、最新の生成文法理論であるLabeling Algorithmの動向や分析対象であるthat痕跡効果と反that痕跡効果に関連する現象を把握したのち、英語史における関係節全般とそこに現れる関係詞のthatに関するコーパス調査を開始した。分析対象である上記の二つの効果は主語の統語的性質と密接に関連している現象であるということを考慮し、Labeling Algorithmの観点から主語の分布に対して理論的分析を与えることを試みた。この研究成果は、「主語位置の歴史的変化に対するラベル付け理論を用いた分析」(第5回史的英語学研究会、弘前大学)として発表されている。今後は、本年度で提案された分析の理論的問題を解決するとともに、史的統語論の観点からthat痕跡効果と反that痕跡効果に関する統語的メカニズムを解明することを目指す。 コーパス調査では、すべての関係節を抽出し目視によりいくつかの種類に分類している。それにより、関係詞のthatの統語的・形態的性質に関する歴史的発達の過程や時期を明らかにするとともに、関係節に関する新たな歴史的変化を発見することを目指している。本年度のコーパス調査では、thatが豊かな屈折を示す指示詞としての性質を失った時期を特定することができた。また、古英語や中英語では、関係詞を伴わない関係節は観察されるが、その割合は比較的低いということがわかった。さらに、指示詞を先行詞として持つ関係節に課されるいくつかの制約を観察することができた。今後は、関係節全般とそこに現れる関係詞のthatに関する調査をさらに進めるとともに、異なるコーパスを用いて上記の調査結果を検証するつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コーパスから得られたデータが予想以上に膨大であり、すべてのデータを集計・分析するにはまだ時間がかかる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度で処理することができなかったデータを引き続き集計・分析しながら、得られたデータや理論的知見をまとめ、学会発表や論文として投稿する準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加する予定の学会や研究会に参加できなかったため。また、予定されていたよりも文献を購入しなかったため。次年度では、本年度より多くの学会や研究会に参加し、そこで得た情報に基づき、必要な文献の購入を検討する。
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