本研究は、これまでの統語研究や英文法の解説書において注目されることがなかった統語的融合体について、その文法的特性を記述し、新たに省略現象の観点から捉え直した研究である。統語的融合体は、不完全な文の形式をしているが、その解釈は句で言い換えられる。この形式と意味の不一致は、融合体が統語論と形態論の両インターフェースに関わるために生じることを示した。また、本研究は、統語的融合体がGod knows wh-のような慣用表現やdon’t knowのような述語の型に固定されているのではなく、疑問縮約(sluicing)が文法的に認可される環境であれば、幅広い表現が認められることを明らかにした。
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