研究課題
2019年度は青森と石垣に2度ずつフィールドワークに行き、調査を行った。また、京都と滋賀で無助詞の聴取産出実験も行った。調査の一部は日本語学会、ICPhSなどで発表され、日本語学会では発表賞を受賞した。青森県むつ市の名詞標識に関して、格と情報構造の観点から記述した。むつ方言では主格標識、対格標識、主題標識がまれにしか現れないこと、また項焦点のためには名詞標識よりもむしろ焦点構文(分裂文)を使うほうが好まれることを明らかにした。琉球八重山語白保方言のアクセント型が従来言われていた2種類ではなく3種類あることを、音響分析により明らかにした。また、白保方言と系統的に最も近い波照間方言のアクセント型と比較し、その対応を明らかにした(日本語学会発表賞受賞)。さらに、新しく判明したアクセント型をもとに、南琉球八重山語白保方言の語彙リストを作成し、音韻とアクセントを簡単に記述した。沖縄県石垣島白保にて一般向け方言講座を行った。琉球八重山語鳩間方言の母語話者である加治工真市氏の膨大な語彙の記述の編集・校正を行い、16,777項目の『鳩間方言辞典』として出版した。琉球八重山語竹富方言の絵本出版に向けてクラウドファンディングを行い、304名から4,185,000円の支援を集めた。申請者は主にTwitterなどSNSでの情報発信に努め、絵本だけにとどまらず、消滅の危機にある方言や言語の一般聴衆の理解を促進した。
2: おおむね順調に進展している
青森、石垣の調査や京都と滋賀での実験など、概ね計画通りに進行し、成果の一部を学会等で発表することができた。
疫病が流行しているので、今年度の調査は困難であると考えるので、データ分析、成果発表を中心に行なう。調査、学会発表などのための出張旅費は、通信費、機器費、人件費などに当てる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 オープンアクセス 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 図書 (4件)
青森県むつ方言調査報告書
巻: - ページ: 51-58
琉球の方言
巻: 44 ページ: 283-306
In Sasha Calhoun, Paola Escudero, Marija Tabain & Paul Warren (eds.) Proceedings of the 19th International Congress of Phonetic Sciences, Melbourne, Australia 2019
巻: - ページ: -
Proceedings of CogSci2019