| 研究課題/領域番号 |
18K12362
|
|---|
| 研究機関 | 武蔵野大学 |
|---|
研究代表者 |
平田 秀 武蔵野大学, グローバル学部, 講師 (60777613)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
| キーワード | 日本語アクセント論 / 日本語方言 / 言語学 / 方言学 / 音韻論 / 三重県 |
|---|
| 研究実績の概要 |
令和2年度は、研究題目「紀伊半島熊野灘沿岸地域諸方言アクセント類型論の形成」に基づき、同地域諸方言についての記述的研究を遂行した。令和2年春以降のコロナウイルス感染拡大をうけ、令和2年度中は熊野灘沿岸地域での現地調査の実施は断念し、令和元年年末までに実施した現地調査の結果を使用した記述的研究を行なった。
当該年度中、熊野灘沿岸地域のうち、三重県尾鷲市尾鷲方言について、日本言語学会第161回大会にてポスター発表「三重県尾鷲方言の人名アクセントと呼びかけイントネーション」を実施した。この発表において、同方言の人名アクセントは下げ核による下降が生じる人名と下げ核による下降が生じない人名に大別されることを示した。また、同方言の呼びかけイントネーションについては、下げ核による下降が生じる人名を呼びかける場合ピッチレンジが大きくなること、下げ核による下降が生じない人名を呼びかける場合下降が生じることを示した。本発表で指摘した呼びかけイントネーションにおける下降音調は、日本語諸方言の呼びかけイントネーションについて扱った先行研究でも言及されているものであり、通方言的に下降音調が呼びかけと結びつきやすいことを指摘した。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年春以降のコロナウイルス感染拡大に伴い、令和元年度中の令和2年3月に実施予定であった和歌山県新宮市内および三重県南牟婁郡紀宝町内での現地調査を断念した。本研究には、熊野灘沿岸地域に在住する高齢者を中心とした方言話者を対象とした現地調査の実施が不可欠である。前述の2地点における現地調査は令和3年5月時点でも実施に至っておらず、その他の熊野灘沿岸地域における地区での現地調査の実施も、見通しが立たない状況である。
|
| 今後の研究の推進方策 |
令和2年春以降のコロナウイルス感染拡大が終息し次第、予定されていた現地調査を実施する。
申請者が熊野灘沿岸地域諸方言のアクセント類型論の形成をめざした研究を今後推進するにあたって、コロナウイルス感染拡大が終息し次第、まずは令和元年度中現地調査の実施を断念した和歌山県新宮市内および三重県南牟婁郡紀宝町内での現地調査を実施する予定である。
令和元年度までに、申請者は熊野灘沿岸地域の7地区にてアクセント調査を実施した。今後は、さらに調査地区を増やす予定である。
新たに現地調査を実施する地点の選定にあたっては、金田一春彦（1975）『日本の方言 アクセントの変遷とその実相』に掲載の、熊野灘沿岸地域諸方言の分類を示した地図が有用であると考えられる。また、現地調査を実施済みの7地区についても、アクセント体系の解明をめざす予備調査のみが実施済みの地点が複数存在する。そのような地点についても、アクセント体系の全容をとらえるとともに、さらに詳細な個別の現象（複合名詞アクセント、外来語アクセント等）を取り扱えるよう、現地調査を続行するものとする。
申請者が現地調査を実施済みの地点のうち、尾鷲市尾鷲方言については、アクセントについての網羅的なデータを取得している。今後は、アクセントとイントネーションの連関を観察するなど、これまでの記述的研究をさらに発展させる形での研究の遂行をめざす。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
令和2年春以降のコロナウイルス感染拡大をうけ、令和2年度中の熊野灘沿岸地域での現地調査を断念した。このため、当初予定していた現地調査実施にともなう旅費の使用がなくなった。また、同様にコロナウイルス感染拡大をうけ、各種学会等の開催がオンラインとなり、学会等参加にかかる旅費の使用もなかった。このため、次年度使用額が発生した。
コロナウイルス感染拡大の終息がみられ次第、令和3年度中に熊野灘沿岸地域での現地調査を実施する予定である。また、各種学会等にて研究成果の発表を行う予定である。現地調査の実施ならびに各種学会等への参加に、旅費を使用する予定である。
|
