研究実績の概要 |
日本に在住するベトナム人年少者が、日常生活において日本語よりもベトナム語を使用する傾向が強いことの要因を探るため、神奈川県内の夜間日本語教室における参与観察を継続して行った。その調査結果に基づき、国際学会において計4回の口頭発表を行った。それぞれの発表では、主に以下のような点について指摘した:2018年10月…日本語教育と特別支援教育の関係性、2018年12月…難民の言語使用の世代差、2019年1月…日本の高校入試制度と言語教育、2019年3月…在日ベトナム人の人口推移。また、2018年11月の研究会においては、在豪ベトナム人の言語使用に関する文献レビューの結果をまとめた。 一方、オーストラリアにおける調査の足掛かりとして、2019年2月にシドニー(Marricville, Cabramatta, Canley Vale, Canley Heights, Fairfield)とメルボルン(Springvale, Richmond, St Albans, Sunshine, Footscray)の各ベトナム人集住地域において、多言語によって表記された看板や貼紙の写真撮影を行った。そのような看板・貼紙は、(住民の出身地の方言であると推測される)ベトナム語南部方言によって書かれていることが多かった。また、ベトナム本国で既に借用語として定着している英単語だけでなく、本国ではあまり使われないような英単語もベトナム語の文中に挿入されていることがあった。この調査の結果について詳しくは、2019年11月に台湾で開催される国際学会において口頭発表を行う予定である。
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