研究課題/領域番号 |
18K12364
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
児倉 徳和 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70597757)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シベ語 / トゥヴァ語 / 現代ウイグル語 / コピュラ / 文末詞 / 語り (narrative) |
研究実績の概要 |
2021年度は下記の研究活動を行った。これらの一連の研究活動を通し、アルタイ諸言語に存在する統語的人称標示型言語と機能的人称標示型言語における補助動詞と文末詞の意味的機能の差異の把握にむけ大きく前進した。 (1)統語的人称標示のなされる現代ウイグル語について、過年度に研究発表を行った補助動詞(コピュラ)と文末詞の意味分析を論文にまとめ、公表した。 (2)文法的人称標示のなされる現代ウイグル語・トゥヴァ語と、機能的人称標示のなされるシベ語について、語り(narrative)のテキストにおける諸文法形式の現れについてまとめ、発表を行った。 (3)シベ語の補助動詞yawe-の意味機能の分析を通し、シベ語のテンス・アスペクト・ムード体系の形成過程について論じ、論文にまとめ、公表した。 前年度までに行った研究から、統語的人称標示型言語であっても定動詞と形動詞では人称標示のあり方(統語的=文法的であるか否か)が異なっていることが分かっているが、今年度の研究(1)(2)はこれに関連して文末形式、特に文末詞の使用に定動詞と形動詞の区別が関わっていることを明らかにした。また、今年度の研究(2)と(3)は、動詞の定性(finiteness)にかかわるとされるテンスについても、今年度研究対象とした現代ウイグル語・トゥヴァ語・シベ語の間で性質が異なっており、特に語り(narrative)におけるテンスの転換においてそれが顕著であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により調査渡航が遅れているため。オンライン調査や国際共同研究による招へいにより一部の言語については調査研究を進められており、これらの言語については当初の計画以上の研究を行うことができているが、土族語など、データの整理はできているものの当初計画していた研究が行えていない言語が残されている。
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今後の研究の推進方策 |
土族語については今年度までに刊行されている資料を整理済であるため、この資料をデータとし、分析を行い、研究を完成させる計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大による調査渡航の延期のため。 2021年度はオンライン調査の謝金として執行したが、2022年度も引き続きオンライン調査の謝金として執行するほか、データ整理の謝金として執行する予定である。
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