最終年度の研究成果 (1) 統語的人称標示型言語である現代ウイグル語と機能的人称標示型言語であるシベ語のモダリティ体系の対照を定動詞と形動詞の機能を中心に行い、成果を研究発表の形で公表した。(2) 機能的人称標示型言語であるシベ語のテンス・アスペクトとモダリティの発展過程の検討の一環として、進行アスペクトを表す接辞 -maXe の発展過程の検討を行った。そして、-maXeがダグル語から借用した動詞語幹 a- による補助動詞構造 (-me+a-Xe-) によると結論付け、論文として公表した。(3) (1)に関連して、統語的人称標示型言語と機能的人称標示型言語の類型と定動詞と形動詞の機能の関係を検討するため、系統的には近い関係にありながらも機能的人称標示型言語であるシベ語と、人称標示を欠く満洲語のモダリティ体系を定動詞と形動詞と、文末詞の機能について対照し、定動詞と形動詞は研究発表の形で公表し、文末詞の機能については研究発表が採択済みである。 研究期間全体の研究成果 (1) 機能的人称標示型の言語のシベ語と、統語的人称標示型言語のうち現代ウイグル語を中心にモダリティ体系の対照を行い、両タイプの言語で定動詞と形動詞という動詞の屈折形式がモダリティを担っていること、統語的人称標示型の言語においても、コピュラと名詞化辞というように異なる形式にはよるものの、機能的人称標示型と同様のモダリティ範疇が人称標示と独立に存在することが明らかにした。(2) 機能的人称標示型言語であるシベ語の歴史的発展過程において、定動詞と形動詞の使用頻度に変化が起こった一方で文末詞の試用の縮小が起こったことが明らかにした。これらの研究成果を論文ないし研究発表の形で公表(採択済みのものを含む)した。
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