| 研究課題/領域番号 |
18K12369
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| 研究機関 | 滋賀県立大学 |
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研究代表者 |
高梨 克也 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (30423049)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 成員カテゴリー化 / 会話連鎖 / 参与構造 / 社会的属性 / 語用論 / 社会言語学 / 会話分析 |
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| 研究実績の概要 |
本研究課題では，「会話コミュニケーションにおいて，いつ，誰が，どのような種類の発話を行い，これに対して，誰が，どのように応答するか」を体系的に説明できる枠組みとして，会話参与者の成員カテゴリーに基づく分析手法を構築し，これをさまざまな実社会場面で収録された会話コーパスを用いて検証することを目的としている．これにより，「誰が」「何を」話すかという会話における二つの基本的問題を相互に関連づけられるようになることに加え，ある成員が会話内で発話を行うというミクロな社会現象をその背後にあるよりマクロな社会的規範という観点に接合する端緒が開かれ，関連社会科学分野へのより広範な貢献も可能になる．
この目的の達成のため，「会話のある時点で．ある成員カテゴリーが活性化されると，ある特定の種類の言語行為を実行しやすくなる」という作業仮説に基づき，この点に関する実会話事例に基づく学術知を体系的に蓄積している．
しかしながら，前年度に続き，今年度もコロナ禍の影響により，フィールド調査による新規データの収集や対面状況での会話実験などは断念せざるをえなかった．そこで，野沢温泉村での道祖神祭りの調査では，現有データのみを用いた分析を行った論文を執筆し，論文集の一部として次年度中に刊行予定である．その他には，本研究課題に関連した，参与者間での匿名的な出会いに関する理論的課題についての文献学的な研究成果1件の刊行と，フィールドにおける調査手法に関する学会等での発表を行うにとどまった．
これらの研究を通じて，成員カテゴリー化が会話の場への各参与者の参与の仕方の多様性とそれを分析者がどのような工夫によって的確に捉えられるかという方法論に関しては一定の理論的深化が図れた．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に続き，今年度も新型コロナ感染症の蔓延状況が断続的に続いており，本研究課題にとっての必須部分である，フィールド調査による新規データの収集や対面状況での会話実験などは断念せざるをえなかった．コロナ禍においても理論的課題の整理や調査分析手法の再検討は一定程度は進められてきたものの，これらに対する実データを用いた実証や検証は十分に進めることができなかった．
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| 今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症に対する十分な予防措置を講じながらの調査・実験の見通しも少しずつ開けてきていることから，次年度は，その都度の感染状況を見極めつつ，新規データの収録を行いたい．具体的には，行政組織内での多職種連携会議という，本研究課題にとって極めて有効なフィールドでの調査の可能性が見えてきており，現在調整中である．また，コロナ禍以前から継続している野沢温泉村での道祖神祭りの調査についても，祭りの準備作業などが徐々に平常化する見通しであることから，許容される範囲内での本格的な調査を再開できるのではないかと考えている．知人同士の間での日常会話については，実験的なデータ収録を行うという方法以外にも，研究利用目的で公開されている日常会話コーパスのデータの利用も積極的に検討する予定である．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の蔓延状況が続いていることから，対面相互行為を対象としたフィールド調査とデータ収集，対話実験等を見合わせたため．
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