研究課題/領域番号 |
18K12371
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高橋 康徳 神戸大学, 大学教育推進機構, 講師 (90709320)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 音韻論 / 声調 / 中国語 / ベトナム語 / 発声 |
研究実績の概要 |
2019年度は主にベトナム語の声調に関する音響データの収集と音韻分析の初期考察を行った。それらに加えて、声調の分析方法を充実させるために質的データを量的に分析する方法を模索し論文として発表した。以下、各点について詳述する。 ベトナム語に関する音響データは2019年8月にハノイ市での現地調査で収集した。調査では朗読音声を録音することに成功し、単独発話よりも自然な環境での分析を可能にする基礎を築くことができた。本来の計画であればデータの欠損補充とベトナム語声調の先行研究を収集するために2020年3月にもハノイ市にて現地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大のため調査を中止した。 中国語の分析は前年度に続いて北京語の声調分析を続けた。低声調の際の声質の変化を量的に分析するためにはどのような手法が有効なのかを検討し、ベトナム語の低声調との比較を行うための方針を検討した。 音韻分析については中国語とベトナム語の低声調の音韻論における捉え方を比較した。類似した音声実現に異なる音韻的な位置付けを与えていることが分かった。具体的に言うと、中国語では音の高低と結びつけるが、ベトナム語では声質に結びつける。 声調の分析方法の検討では、質的な現象を量的に分析するための手法を既にデータが集まっている上海語の変調域の分析を通して考察した。考察結果は従来の研究と一致する点が多く、分析手法としての妥当性が一定程度得られたのではないかと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
異なる言語の発声という現象の効果的な分析方法の模索に時間がかかっている。また、2020年3月の現地調査が新型コロナウイルスの感染拡大のため中止となったため、データに一部不備が残されている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は最終年度のため、現在収集したデータをもとに中国語とベトナム語の声調の比較を行い研究をまとめる。特に低声調の音声実現と音韻解釈の違いについて注目する。 研究を遂行する上の課題として、新型コロナウイルスの感染状況が長引くことによって国内外での調査・実験を行うことが困難になることが挙げられる。現段階ではデータの欠損があるため調査・実験によって補充する必要があるが、現地調査や大学施設の使用が制限されることによってスムーズに補充できないことが懸念される。対応策としては遠隔での調査・実験の方法を模索したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は中国での資料収集を計画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって中止した。2020年度は研究のとりまとめにかかる必要があるため、関連機材の購入に使用する予定である。
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