研究課題/領域番号 |
18K12377
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
秦 政寛 慶應義塾大学, 先導研究センター(日吉), 特任助教 (50706439)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 言語 / 脳科学 / NIRS |
研究実績の概要 |
本研究では、意味処理を反映する生理指標と考えられる瞳孔径の変化と拘束性が少なく空間分解能に優れた近赤外分光法(NIRS)を用いた意味処理時の脳機能計測を同時に行うことで、瞳孔径から得られる乳幼児自身の語彙理解の程度をもとに語彙獲得初期における意味処理の脳内基盤の発達を明らかにすることを目的としている。 初年度となる本年度は、乳幼児期の意味処理時における瞳孔径変動の特徴を検討するため、6か月児、9か月児、12か月児を対象として、音声刺激と視覚刺激の提示時間や提示順序の違いによる影響を調査した。その結果、刺激の提示順序により、瞳孔径変動の潜時に違いがみられた。また12か月児においてのみ、刺激の提示順序に関わらず音声刺激と視覚刺激の不一致条件において一致条件よりも瞳孔径が散瞳する傾向がみられた。これらの結果は、月齢により意味処理において異なる認知的処理を行っている可能性を示唆しているものと考えられる。また予備実験として、6か月児を対象とした瞳孔径とNIRSの同時計測を実施した。その結果、条件間において瞳孔径の変化にはほどんど違いがみられなかったにも関わらず、脳機能計測では不一致条件において右半球を中心に使用している可能性が示唆された。これらの結果は、言葉を十分に発することのできない乳幼児期の意味表象の脳内基盤を検討する上で、個々の指標を評価するだけでは見るこのとのできない側面を評価できる可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究により乳幼児期の意味処理における瞳孔径変動の特徴はつかめているが、本研究以外の業務のために十分な計測人数での検討ができなかった。次年度前半までを目処に引き続き計測を実施する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
瞳孔径とNIRSの同時計測の実施へ向け、追加データの結果も踏まえ、最終的な刺激の作成ならびに計測環境の整備を行う。6か月児、9か月児、12か月児を対象として、横断研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた視線計測装置の購入を見合わせたために次年度使用額が生じたが、今後の研究への汎用性やソフトの対応OS等の関係から、あらためて視線計装置の購入を検討している。また、謝金ならびに学会参加費等への使用を予定している。
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