研究課題/領域番号 |
18K12381
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
川瀬 彩耶 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (60801206)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 第二言語音声習得 / 発話 / 知覚 / 日本語 / 英語 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は第二言語の音声習得を発話と知覚を包括的に研究し、習得モデルの構築をすることである。第二言語音声習得の研究においてはいくつかのモデル(例:Speech Learning Model)が構築されているが、実験の手法が限られ、特に認知負荷の低い環境下(例:静かな環境下)、並びにタスク(例:モニターに出された単語を読み上げる)を用いた実験方法が主に使われている。本来の複雑かつ高度なスキルを要するコミュニケーション能力がいかに習得されているかを探るため、本研究ではこの問題点も考慮した実験が予定されている。 今年度は研究の1年目として主に発話のデータ収集を行った。具体的には、英語の母音習得並びに母語の日本語の影響を調べる為に(1)日本人英語学習者の発話データ(国内)と(2)海外在住日本人の発話データの収集を日本語と英語の両言語を用いて行った。まず実験材料の準備を2018年前期に行い、8月から9月末までアメリカワシントン大学言語学部教授のRichard Wright教授の協力もあり、現地にて研究員として滞在し、シアトル在住2年前後の日本人英発話データを収集した。短期滞在の日本人(例:語学留学の日本人学生)に比べて長期滞在者を募集するのに苦労したが16名のデータを収集することができた。そして、10月から12月にかけて所属先大学にて日本人英語学習者の発話データ(国内)収集を行った。 今回のデータ収集では異なる認知負荷の度合いを独立変数に加えているために、データ収集にかける時間が一人当たり1時間半と長く、またデータ量も膨大な為、2年目にデータ解析を行う予定である。また本研究に先立ち得たパイロット実験の結果を11月のアメリカ音響学会にて発表する機会を得た。他の研究者からのフィードバックを踏まえて今後の知覚実験の準備も進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメリカの研究協力者、リサーチアシスタント、の協力により音声(発話)データの収集は非常に効率的に行うことができた。また日本国内での発話データの収集は完了した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度(2年目)は1年度に収集が終わらなかった英語母語話者のデータ収集を行い、同時にデータの解析を始める。データ解析では母音の音響解析を行い認知負荷の度合い(タスク、ノイズ効果)がいかに第二言語音声習得の影響に及ぼすかを調べる。また音響解析のみならず知覚の観点を考慮した測定(Speech Intelligibility)との関連性も検証したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度のデータ収集が予想以上に進んだ為、データ解析に必要な経費を繰り上げ使用の申請を行った。しかし後期の英語母語話者のデータ収集に遅れが見られた為にデータ解析を行わず次年度使用となった。
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