研究課題/領域番号 |
18K12383
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研究機関 | 名古屋学院大学 |
研究代表者 |
濱野 寛子 名古屋学院大学, 経済学部, 講師 (50756971)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 助数詞 / 認知言語学 / カテゴリー化 / 動詞 / コーパス / コレスポンデンス分析 |
研究実績の概要 |
2022年度は、昨年度に引き続き、数える事物の捉え方に関わる動詞と助数詞との間の意味的関連性を探るため、分析対象の助数詞を増やし5つの助数詞(「本」「枚」「個」「匹」「件」)について、それぞれどのような意味カテゴリーの動詞と結びつきが強いか、コーパスの事例を用い統計解析の手法(コレスポンデンス分析)によって調べた。そして、例えば「本」は「成形・変形」の意味カテゴリーに属する動詞(例:引く、伸ばす)と、「枚」は「合体・出会い・集合」の意味カテゴリーに属する動詞(例:合わせる、集める)との結びつきが強いといった結果となり、総じて助数詞それぞれについて結びつきが強い意味カテゴリーの動詞は、当該助数詞の意味的特徴の一側面を容易に想起できるものであることが示された。そして、各助数詞がどのような動詞の意味カテゴリーと結びつきが強いか(反対に結びつきが弱い動詞の意味カテゴリーは何か)を網羅的に把握することができた。この研究成果については、2023年度に国際学会にて発表する予定である。 本研究で示された、助数詞にはその意味的特徴をより反映する動詞の意味カテゴリーがあるという点については、従来の研究で議論されてきた数える名詞の意味的特徴に注目した助数詞の意味分析に対し、共起する動詞の意味的関係も取り入れて再考する必要性があることを示したといえる。現在これについて考察を進めているとともに、さらに話者と数える事物との相互作用の観点からも議論し、事物の「捉え方」の解明につなげることを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在遂行中の研究は探索的であることから、分析の過程で見直しや修正を図りながら進めている。本年度においては分析対象の助数詞を追加しデータを整形する段階で、これまでの作業も見直す必要が生じたため、全体として遅れに繋がった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの成果を学会等で発表し、さらに助数詞の使用に関する言語調査を実施する。言語調査では、話者の経験が助数詞の選択に関与する可能性について検証することを目的とする。そして、これまでの成果と合わせて助数詞の事物の捉え方の問題について理論的に考察し、総括をしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に海外での学会発表が決まったため、予算の一部を渡航費に充てる。その他、研究の遅れにより外注の言語調査が未実施であったため、その調査の実施に使用する。
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