研究課題/領域番号 |
18K12385
|
研究機関 | 名古屋外国語大学 |
研究代表者 |
川原 功司 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (70582542)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | イデオフォン / 段階性 / 文法的統合性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、スケールを用いて「グラグラ、クタクタ」といったイデオフォン(擬音語・擬声語・擬態語)における段階性(gradability) を分析・記述することを通して、その核となる意味を明らかにすることである。特に、「huge、fantastic」といった極限(extreme) 形容詞に観察される意味の強さと比較して分析することで、イデオフォンが持つ感覚的イメージの一部を明示的にする。また、段階性と関連する比較構文や程度構文などの文法的統合性の問題について考察し、意味の強さが最大限の基準として内在化された場合、意味的余剰性の削減のため文法的統合性が弱くなり、比較構文や程度構文といった複雑な構文が作れなくなると主張する。本研究を通して、これまでほとんど議論されることがなかったイデオフォンの段階性と漠然と捉えられていた意味の強さが明示的になり、通言語的な分析が可能になる。また、文法的統合性の議論を通して、言語構造が単純化していくプロセスの一つが明らかになる。2018年度は、BLS44に論文を発表し、また11月にUCLAで行われたJapanese/Korean Linguistics 26においてイデオフォンの意味論・語用論分析を発表し、その論文も完成させた。なお、この論文はCSLIよりオープンアクセスの形で出版される予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題採用前にBerkeley Linguistic Society 44で口頭発表した内容を、2018年度中に論文の形で出版させることができた。また、11月にUCLAで行われたJapanese/Korean Linguistics 26で学会発表も行うことができ、その成果を論文の形でまとめることもできた。当初の予定は順調に消化できている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の成果の一部を盛り込んだ単著『英語の諸相』が2019年4月に出版された。これは現在、大学の講義で活用している。また、新学術領域研究とも合わせ、イデオフォン(本研究課題)と間投詞(新学術領域研究)の共通特性を文法的統合性、及び言語進化という観点からどれだけ研究を進めていくことができるかが今後の課題である。また、新学術領域研究のおかげで自閉症スペクトラムの幼児の言語データやウィリアムズ症候群の人たちの言語データも収集することができそうであり、本研究課題期間中に当初の予定より研究が進む見込みもでてきた。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新学術領域研究の代表でもあり、その分、多少の余裕ができた。繰り越し分は2019年度以降の研究に使用する。
|