本研究の目的は、日本語の診療場面の会話において、いかなる質問、および応答が医療従事者と患者の間の共感的コミュニケーションを構築するのに有効であるのかを、言語学的手法を用いて明らかにすること、およびその成果を医療現場に還元することである。医療現場で収録された会話を、認知語用論的枠組みを主軸とし、医療人類学や現象学的な解釈の視点も加味した融合的な解釈理論を用いて、質問と応答の発話のタイプ別に分析し、共感的コミュニケーションが構築され得る過程において見られる典型的な会話パターンを明らかにした。分析結果は研究協力者らと共に教育的見地からの再検討を行った。
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