• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

分裂能格性の比較統語研究:名詞化と動詞の意味的特性を中心とした実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K12388
研究機関関西学院大学

研究代表者

今西 祐介  関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (80734011)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード能格性 / 名詞化 / 活格型言語 / マヤ諸語 / 琉球諸語
研究実績の概要

今年度も昨年度に引き続き、マヤ諸語と喜界語の比較統語研究を通じて、分裂能格性の発生メカニズムに関する研究を行った。具体的には、分裂能格性が先行研究で主張されてきたような独立した規則から導かれるのではなく、各言語の統語的要因、特に名詞化節の統語的特性と動詞および名詞の意味的特性から派生される副次的な現象であることを明らかにすることを目指した。今まで分裂能格性という観点から分析されることがほとんどなかった喜界語を取り上げることにより、分裂能格性に関わる別の統語的要因である動詞および名詞の意味的特性に対して新たな視座を加えることを目指した。
本年度は、研究代表者のこれまでの能格性に関する研究がまとめられた単著が刊行された。本書では、マヤ諸語の分裂能格性や喜界語を含む琉球諸語の格配列に関する研究が議論されている。
また、動詞および名詞の意味的特性と分裂能格性との関連性に関して、喜界語(上嘉鉄・湾・阿伝方言)のフィールド調査を行い、当該言語が活格型配列を持つかを検証した。本調査の結果、一部方言(上嘉鉄・湾方言)において、ゼロ格を伴う活格型配列に類似した現象が見られることが分かった。特に、無生物主語はゼロ格を容認する傾向にあることが判明した。
さらに、喜界語の格配列との関連で当該言語の名詞句の研究も行い、名詞句削除に関するフィールド調査を実施した。特に、名詞句内の一致の有無と名詞句削除の有無が関連しているという仮説を立て、調査と分析を行った。本研究に関する論文が一編出版された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの研究をまとめた単著が出版され、研究計画通りの調査が実施できているため。

今後の研究の推進方策

今年度の調査では、喜界語が分裂能格性を持つ可能性を示唆する調査結果が得られたので、今後は主語名詞と格配列(特にゼロ格の容認性)に焦点を当て調査を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた支出用途枠(「旅費」等)での支出が少なかったため、次年度使用額が生じた。 今回生じた次年度使用額は、次年度の現地調査費用等に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] On the connection between agreement and NP-ellipsis: Evidence from Kikai (Ryukyuan)2020

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Imanishi
    • 雑誌名

      『英語学の深まり・英語学からの広がり』

      巻: - ページ: 208-219

    • 査読あり
  • [図書] 言語の能格性2020

    • 著者名/発表者名
      今西 祐介
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      ひつじ書房
    • ISBN
      4823410335

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi