本研究の目的は、訓点資料本文データベースを作成するためのシステムを構築していくことである。そのために①データ項目の選定②入力フォームの作成③検索システムの作成をめざす。システムにはExcelのマクロを使用する。多くのパソコンで使えるからである。
本年度は、昨年度作成したデータ入力フォームを使用し、学生に実際に入力作業をしてみてもらいながら、入力試験→フィードバック→改良の作業を繰り返した。フィードバック意見の中には、プログラムのミスやインターフェースの問題などで、すぐに修正のできるものもあったが、Excelのシステム上回避できない問題などもあった。システム上の問題の場合、時によっては、入力を助けるためのフォームが、却って手間となってしまうこともあるので、システムの範囲内でのさらなる工夫が必要である。 また、入力内容にもまだ改良と工夫が必要であることがわかった。データ項目は昨年度、データベースの作成段階で、そろえたはずであったが、それ以外にも、たとえば補注やミセケチ、誤写、資料ごとの特徴的な加点などを、どのようにデータとして処理すべきかという、作成方針上の指摘があがった。データベースとしての価値を保ちながら、資料の再現性をある程度保持できるような、一定の方針を作っていく必要があることがわかった。今後の検討課題としたい。
また、試験用のデータセットとして、訓点資料の画像データ化(九州大学附属図書館デジタルアーカイブ内に公開中)および、そのテキストデータ化を行った。複数の資料を利用して入力作業をしてみることで、入力内容や方法の統一性、改善点などを明らかにするだけでなく、上述のような資料の特徴を反映した問題点なども明確ににすることができる。
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