研究課題/領域番号 |
18K12408
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
本多 尚子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40735924)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 史的統語論 |
研究実績の概要 |
英語史における二重比較構文の通時的発達を明らかにするために、30年度は4つの調査を行った。第一に、二重比較構文の出現及び消失を引き起こす統語メカニズムの解明については史的コーパス調査の結果より二重比較構文が出現した時期は屈折比較構文も迂言比較構文も1音節形容詞を含む用例が最も多く、また総合的言語から分析的言語への変化を反映する屈折比較構文から迂言比較構文への偏流効果も見られた。その後、迂言比較構文について3音節以上の形容詞を含む用例の出現頻度が急激に高まり、屈折比較構文が含む形容詞の種類との分化傾向が強まるにつれ両者の中間的な性質を含む二重比較構文が消失していくというメカニズムが明らかとなった。この調査の研究成果の一部である迂言比較構文の通時的発達について研究論文としてまとめ発表を行った。第二に、二重比較構文が持つ詳細な統語構造についても、屈折比較構文や迂言比較構文の統語構造と共に先行研究などを踏まえて理論的にも経験的にも妥当な形で明らかにすることができた。第三に、二重比較構文の発達と関連付けられる他の構文の出現及び消失時期とその特徴に関する正確な同定については1音節形容詞を伴う迂言比較構文の出現頻度の急激な低下と二重比較構文の消失の時期がほぼ重なることを突き止めた。最後に、二重比較構文の出現及びその消失に関わる動機の解明に関しては、その出現については衰退する形容詞屈折語尾に代わるものとして迂言比較マーカーが導入されるようになり、その過渡期の構造として二重比較構文が可能になったと、そして、その消失については、ラテン語やフランス語由来の形容詞の借用が増加し迂言比較構文に含まれる形容詞の種類が3音節以上のものを中心とする形に変化したことで、屈折比較構文と迂言比較構文との分化傾向が強まり、両者の中間的な性質を示していた二重比較構文が消失したということが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に予定していた4つの調査は全て終了し、比較構文に含まれる形容詞の種類について先行研究よりもより詳細な経験的データが得られた他、それらのデータをまとめたデータベースも作成し今後の更なる研究発展に繋がることが期待されるため。また、前述の調査の成果の一部を研究論文としてまとめ公表することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度までで導き出すことのできた二重比較構文の通時的発達に関する動機とメカニズムを利用し、比較構文全般の通時的発達過程について更なる解明を目指す。また、当該研究の成果を通言語的研究や言語習得研究にも活かすことができるかどうか検証し、結果をまとめる。
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