研究課題/領域番号 |
18K12411
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山根 典子 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (70319391)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アルトラサウンド / トラブル音 / 日本語母語話者 / ピッチ幅 / 観察学習 / ミラーリング |
研究実績の概要 |
本研究では、日本人英語学習者が対面するトラブル音学習の問題に対処するため、英語スピーキングの教育現場で最も指導が難しいと言われる発音,中でも指導支援が困難とされる,聴覚上類似している子音や母音の調音の対立を取り上げ,日本語母語話者に特有のトラブル音を改善するため,モデルや自分の調音動作の観察学習の効果の検証を行う,などの目標を掲げた。日本語母語話者の英語トラブル音はピッチ幅の狭さにも現れており、1年目はピッチ幅を分析のターゲットにし、音響特徴に似せた表象的動作(ボクシングのジェスチャー)の観察学習およびミラーリングによるトラブル音改善の効果を検証した。観察学習あり(実験群)・なし(比較群)のグループに分け,音声摸倣のプレテスト,ポストテストを行なったところ,実験群の特に男性グループにピッチ幅の増加が見られた。成果は,International Symposium on Applied Phonetics (2018)で発表済みである。アルトラサウンドによる実験を行う為の1年目の最大の課題は,言語分析に適するアルトラサウンドの選択であったが,スペクトログラフと舌の動態が同時表示されるマイクロアルトラサウンドシステムおよびアルトラサウンドトランスデューサー(Articulate Instruments Ltd.)を選択した。実験に向けて,録音室を設置,プレテスト及びポストテストで使用する日本人が苦手な子音や母音を含む刺激語リストを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルトラサウンドの選択や入手に時間を要したので、入手までの間、トラブル音の分析ターゲットを、アルトラサウンド無しでできるものへと変更した。聴覚刺激だけではなく視覚刺激が,調音という発話に伴う口内動作を助長する,という仮説を前提としている為,音響特徴を真似た・誇張した手の動作などでも,調音に影響があるのかを検証するため,関連した発話実験を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に計画していたアルトラサウンドによる実験を2019年度に行う予定であるが,学生のアルバイトを雇用し,スピードアップを測る。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは,アルトラサウンドの納期が遅れたためである。それゆえ次年度の支出となる。また,International Congress of Phonetic Sciencesで発表が予定されている。
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