研究実績の概要 |
本研究は、省略は文の意味を変えるという仮説を立て、日英語を中心とした実証研究を行うことを目標とする。また、省略現象に対して、意味部門での操作が深く関わるLFコピー分析と、音韻部門での操作が深く関わるPF削除分析のどちらが妥当かを検証することを目標とする。 研究期間を通して、日本語のVerb-stranding VP Ellipsis, Argument Ellipsis, Particle-Stranding Ellipsis, Fragmentary Questions, Coordinated Wh-Questionsなどの削除文の統語特性を考察した。さらに、PF削除分析を仮定することで、それらの削除現象の特性が適切に説明されると提案した。また、削除文における意味変化は、削除部分からの(主要部)移動や削除要素に対する意味制限が強く関わると主張した。 特に、2022年度は、日本語の項削除が適用できないとされるwh句について、その統語特性・移動特性・格標示の制限などを精査し、それらの特性が削除適用可能性とどのようにかかわるかを考察した。それらの論考をGLOW in Asia XIII、the 15th ELSJ International Spring Forumなどで口頭発表した。また、日本語のwh句を残余句とするwh-stripping構文の統語特性を明らかにし、その研究成果をWorkshop on Altaic Formal Linguistics 16で口頭発表した。
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