研究課題/領域番号 |
18K12420
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
小西 円 東京学芸大学, 留学生センター, 准教授 (60460052)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 類義表現 / ジャンル / 媒体 / 使い分け |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本語のテキストの多様な文章・談話を計量的に分析し、テキストのスタイルと使用される類義表現の関連を明らかにすることである。また、両者の関連を日本語教育に役立つ形で記述することを目指している。 その一環として、2020年度には日本語学習者に対する調査の実施を計画していたが、コロナ禍により来日する留学生数が激減し、調査計画の大幅変更が必要となった。対面調査の形をとって、異なるタイプのテキストで書かれた文章を学習者がどのように把握するかを調査する予定であった。しかし、対面調査を行うことが大変難しいことから、分析観点を一部変更し、すでにあるデータを基に行う調査・分析に変更することとした。 実施した調査・分析は、日本語学習者が同様のテーマで話したデータ・書いたデータを分析し、それらに使用されている語彙のレベルを比較した。異なる媒体やテクストでどのように学習者の言語産出が異なるかを把握することを目的とした。調査で使用したデータは、各タスクを行う際に辞書使用を認めるデータであり、より現実の言語活動に近いデータであるといえる。分析の結果、書くタスク実施時における辞書の使用により、自身のレベルよりも少し高いレベルの語彙の使用が増えることがわかった。しかし、中級レベルの学習者が辞書を使用しても上級レベルの学習者の使用する語群にそれほど近づかないことがわかった。つまり、辞書を使うだけでは、より日本語らしい表現・適切な表現に近づけるわけではないということになる。そのため、ジャンルやテキストのスタイルを意識した言語産出を行う場合にも、これまで提供されているような通常の辞書の記述では不十分であることがうかがえる。これは、今後、テキストのスタイルと使用される類義表現の関連を日本語学習者向けに記述する際に意識しなければならないポイントであり、今後の研究に生かすべき知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、授業運営等の本務に予想以上の比重がかかり、研究に充てられる時間が捻出しにくかったこと、また、留学生数の激減により調査計画を見直す必要があったことから、進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、初年度と2年目に取り組んでいたデータを用いて、そこで明らかにできなかった部分の分析を行うこととする。最終年度であるため、論文という形で成果報告ができるよう、年度内に調査を終えて執筆活動を行う。論文という性質上、公開は今年度内ではない可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査を実施する予定であったが、コロナ禍により調査計画を変更したため。今年度は、機材を新しくし、データの分析を行う予定である。
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