研究課題/領域番号 |
18K12426
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
渡辺 裕美 高知大学, その他部局等, 研究員 (20805212)
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研究期間 (年度) |
2019-02-01 – 2024-03-31
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キーワード | 音声教育 / 発音 / 評価 / 日本人教師 / 非母語話者教師 / ロシア語母語話者 |
研究実績の概要 |
第一に、母語話者教師と非母語話者教師の評価の相違について、これまでの研究成果で公表していなかった、ロシア語母語話者が発音した語に対する評価対象別のコメントをもとにした分析について、論文執筆をし公表した。 第二に、ロシア語母語話者の発話文を対象とした場合に、日本人教師と非母語話者教師(ロシア人教師)の発音評価に差が見られるかどうかを検証した。 その結果、日本人教師は「拍の減少」と「アクセント」に注目しやすいことが示唆された。一方、非母語話者教師は「母語の単音」「ストレスアクセント(母語のアクセント)」「ポーズ」に注目する可能性が示唆された。さらに、日本人教師と非母語話者教師の評価を比較した場合、日本人教師は非母語話者教師より意味に影響する誤りや、音素の変化、高低の誤りに注目することが示された。また、非母語話者教師は日本人教師より 「母語の単音」や、母語の特徴が表れている「イントネーション」に注目することが示された。また、発話文に対する評価と語に対する評価を比較した場合、「拍が減少する」特徴や「「す」が「ず」になる」特徴のように、非母語話者教師が注目しなくなる発音特徴があることが示された。また、教師自身が認識していない発音特徴の場合、語評価では指摘できるものの発話文に対する評価では見逃す可能性があることが示唆された。ただし、全体的に発音特徴の指摘には個人差が大きいことがうかがえた。以上の研究成果について論文執筆をし公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、母語話者教師と非母語話者教師の発音評価における相違について、これまでの成果および、発話文の発音に対する評価について2本の論文を執筆し公表することができた。このことから、研究を着実に進められていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、評価対象とする母語話者をロシア語母語話者以外に広げたうえで、引き続き、母語話者教師および、非母語話者教師、一般日本人による語に対する評価及び、発話文の発音に対する評価について検討していきたい。まず2020年度は、ロシア語以外の母語話者について、発音特徴を特定するとともに、評価の実態を解明するための調査を進めていく予定である。ただし、当初は海外での調査を予定していたが、育児のため渡航が難しくなる可能性が予想されるため、まずは、国内で実施可能な調査方法を検討し、国内で実施可能な調査から順次進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、予定していた論文作成が終了次第、ロシア語母語話者以外の母語話者についても音声収集し分析をすすめる予定だった。そのため、それにかかる物品費、調査のための旅費等を支出する予定だったが、ロシア語母語話者以外の母語話者について調査を進めるまで至らなかったことから、次年度使用額が生じることとなった。また、3月には関連する学会や研究会で情報収集等を行う予定だったが、外出自粛のため実施できず、そのための経費を支出できなかった。2019年度に予定していた調査や、学会や研究会での情報収集等は、一部内容を変更して2020年度に実施する予定であることから、2019年度未使用額については2020年度に使用する予定である。
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