研究課題/領域番号 |
18K12429
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研究機関 | 国際教養大学 |
研究代表者 |
嶋 ちはる 国際教養大学, 専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科, 准教授 (00707630)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 外国人看護・介護人材 / インターアクション / translanguaging / 言語リソース / 就労場面 |
研究実績の概要 |
本研究は、外国人散在地域、中でも少子高齢化や人口減少が全国で最も深刻であると言われている東北北部における外国人看護・介護人材育成のための基礎研究として、看護・介護の職場におけるコミュニケーション及び外国人人材の日本語を含む職場学習の過程を明らかにすることを目的としたものである。2021年度に行ったこととしては、主に、(1)過去に収集した、外国人看護・介護人材が働く施設における日本人職員と外国人職員のインターアクションのデータの整理と新しいフレームワークにおける再分析、(2)外国人職員に対して継続して行ってきたインタビューについてのデータの整理と縦断的な分析、(3)秋田県内の外国人職員を雇用している介護施設に対するヒアリングである。(1)については、2020年度に引き続き、過去に別地域の施設で収録していた、日本人介護職員と外国人職員のインターアクションのデータについて、translanguagingという概念を用いて、日本語以外の言語リソースを活用して行われているコミュニケーションに着目し、その特徴について分析を進めた。(2)では、これまで収録したインタビューについて、職場の国際移動に伴い、それぞれの職場環境の違いとそれぞれの職場で求められる言語使用に着目し、縦断的に言語使用とアイデンティティの変化を分析した。(3)では、秋田県内で外国人職員を雇用している介護施設のマネージャーに対し、外国人職員の受け入れの動機や現在の職場におけるインターアクションの課題、今後の展望などについてヒアリングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、外国人看護・介護人材の職場におけるコミュニケーション課題を解決するために行うものである。特に、実際の職場場面におけるインターアクションの分析が一つの核となっているため、介護施設訪問がデータ収集において必要不可欠なプロセスの一つとなる。しかしながら、2021年度は、2020年度と全く同じ状況であり、状況の改善が全く見られなかった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、外部者の介護施設への立ち入りが禁止となり、一度も訪問することができず、従って新規のデータ収集は断念せざるを得なかった。そのため、当初計画していた、職場における方言使用などのデータの分析は完全に断念せざるを得ない状況となり、新規のデータ収集には全くとりかかることができず、現在までの進捗が大きく遅れることとなった。その一方で、収録済のデータを新たな視点で見返し、これまでとは異なるフレームワークから分析するなど、当初の計画とは異なるものの、新たな方向性を見出すことができ、出版にもつなげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染状況は未だ収束する見込みがたっておらず、感染拡大防止のため、介護施設からデータ収集の許可が下りるまでは、引き続き介護施設でのフィールドワークによるデータ収集を断念せざるを得ない。そのため、新規のインターアクションデータの収集は、いつ再開できるかわからない状況にある。介護施設訪問が可能となりデータ収集が再開できる状況となれば、すぐにデータ収集にとりかかれるよう、準備を進めておく一方で、過去に別の地域にある介護施設で収集した看護・介護の職場場面における外国人職員と日本人職員間、及び日本人職員間のインターアクションの分析、ならびに外国人介護職員の縦断的変化に関する分析を重点的に行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度の状況が2021年度においても全く改善することがなく、今年度も引き続き延長せざるを得ない状況となった。大きな要因としては、新型コロナウイルス感染拡大により、感染拡大防止のために研究協力施設である介護施設の訪問を自粛せざるを得なくなり、介護施設における新規のデータ収集が不可能となったことである。その結果、研究協力者に対し支払う予定だった謝礼金や、収集したデータの整理や音声データの文字化等にかかる予定の人件費も使うことがなくなった。また、参加予定だった学会なども開催中止が続いたり、オンラインでの開催となったため、学会参加のための旅費も使うことがなくなった。上記理由により、予算をほとんど使うことができなかった。2022年度についても、新型コロナウイルスの収束状況次第では、新規のデータ収集がいつから可能となるのかは、確定できない。そのため、過去に別の地域にある介護施設で収集した職場場面におけるインターアクションデータの分析を重点的に行うこととする。幸い、国内外の学会が、徐々に対面開催となりつつある。そこで、今年度に繰り越した予算は、研究成果を国内外の学会で発表する際の旅費や、投稿原稿の英文校正費などに充てる。
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