研究課題
本研究は、外国人散在地域、中でも少子高齢化や人口減少が全国で最も深刻であると言われている東北北部における外国人看護・介護人材育成のための基礎研究として、看護・介護の職場におけるコミュニケーション及び外国人人材の日本語を含む職場学習の過程を明らかにすることを目的としてスタートした。当初は東北北部、特に秋田県における看護・介護現場で使用される方言をはじめとした日本語について、フィールドワークによるデータを基に、外国人人材の理解や学習プロセスに注目し質的に分析し、その成果は看護・介護現場における学習支援教材の開発につなげる予定であった。しかしながら、コロナ禍の影響により、外部者の看護・介護施設への立ち入りが禁止される事態となり、実際のインターアクションのデータを収集することが不可能となった。そこで、アンケートやインタビューをもとにしたデータ収集と、他地域で収集済のデータの再分析に方針を変えざるを得なくなった。当初は方言データに着目する予定ではあったが、東北方言が使用される地域ではないところで収集されたデータであるため、焦点は方言から、職場における接触場面のインターアクションにおける様々なリソースの使用やトランスランゲージングに移ることとなった。また、目指していた教材開発についても、当初予定していた日本語学習者向けの教材ではなく、収集することができた看護・介護従事者のアンケートやインタビューを基にした、日本語学習支援者向けの教材の開発に取り組むこととなった。最終年度となった2023年度は、職場でのインターアクションのマルチモーダル分析をまとめた論文を出版することができた他、インタビューデータを基にした動画教材を作成することができた。
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