研究課題/領域番号 |
18K12432
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
田中 祐輔 東洋大学, 国際教育センター, 准教授 (10707045)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日本語教育史 / オーラル・ヒストリー / 日本理解 / 国際文化交流 |
研究実績の概要 |
本研究は、「太平洋の世紀」とされる今世紀において不可欠な日米中の相互理解に際し、日本語教育の果たしうる役割と国際文化交流の歴史をとりまとめることを目的として行われるものである。具体的には、「日本理解」を果たした日本語教育を巡る三国間のダイナミックな人的・知的交流を日米中における教育文化交流の現代史として描き出すことに取り組んでいる。 平成30年度の研究実績としては、研究テーマに関する史資料の収集のために資料館、図書館への調査を行った。各調査で得られた資料について、これまでの研究成果と併せる形で3件の書籍の分担執筆『語から始まる教材作り』(第5章)(くろしお出版)、『日本語教育への応用(シリーズ「コーパスで学ぶ日本語学」第5巻)』(第2章)(朝倉出版)、『他者とつながる外国語学習をめざして 「外国語学習のめやす」の導入と活用』(第3章)(三修社)、3件の学術誌への投稿「戦後の日本語教科書における掲載語彙選択の傾向とその要因に関する基礎的定量分析」(『日本語教育』170、共著)、「現代中国における日本語メディア史の研究―日本語教育の視点に基づく関係者のオーラルヒストリー調査から―」(『言語文化教育研究』16)、「日本語教育の「文型」に生きる国語教育―戦後の初級教科書五九文型はどこからきたのか―」(『月刊国語教育研究』561)や、1件の学会・研究会・シンポジウムでの発表「日本語教育からみた『日本語日常会話コーパス』と『昭和話し言葉コーパス』―オラリティにまつわる言語資源の活用―」(国立国語研究所)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初より計画されていた調査と史資料収集は順調に進められている。研究発表活動としては、図書出版2件、雑誌論文3件、学会発表1件に加え、2018年度日本語教育学会奨励賞を受賞する運びとなった。本賞は日本語教育に関して注目すべき業績・成果があり、将来の活躍が期待される個人に贈られる賞とされている。こうした身にあまる評価をいただけたのは、ひとえに本助成の賜物であり、日本学術振興会、ならびに、本研究にご支援とご助言をくださった機関の方々に深く感謝申し上げる次第である。 以上から現在までの達成度として、順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
得られた調査データの分析と考察から発展的に広がりを見せたトピックや新たに得られた資料についても分析を行い、本課題2年度目には海外におけるインタビュー調査を行い、日本語教育を通した日米中教育文化交流の現代史の解明につながる証言を収集する予定である。収集した証言や資料については、日本語の国際化と、各国の日本語教育のグローバルな連携・協働活動推進のための基礎的資料としてアーカイブス構築の具体案をとりまとめ、法令と研究倫理を遵守した形で公開を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は、研究テーマに関する史資料の収集と分析に注力し、次年度(平成31年度)に行う海外調査への基盤構築に取り組んだ。そのため、大規模な支出はなく、次年度使用額が生じた。これらは、本研究の根幹となる次年度の海外調査で必要となる費用(渡航費、宿泊費、調査に不可欠な備品など)にあて、確実な研究成果が得られるように細心の注意をもって本研究を推進したいと考えている。
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