研究課題/領域番号 |
18K12433
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
嶋原 耕一 立教大学, 日本語教育センター, 教育講師 (00805187)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 会話分析 / 成員カテゴリー / 日本語教育 / 共修 |
研究実績の概要 |
日本人学生と留学生との会話では、参与者によって「日本人であること」や「外国人であること」「学生であること」など、様々な成員カテゴリー(Membership Categorization Device, Harvey Sacks)が志向される。本研究の目的は、日本人学生と留学生が、どのような社会的行為を達成するために、それらの成員カテゴリーをデザインしているのか明らかにすることである。研究期間の初年度である平成30年度は、主にデータ収集と会話分析研究の基礎文献の読み込み、データの文字化と分析に力を入れた。 データ収集では、日本人学生と留学生を所属大学の教室に集め、①自己紹介と②ディスカッションからなるグループ活動の様子を、録音・録画した。グループは日本人学生と留学生2名ずつの4名から構成され、10分の①自己紹介と、50分の②ディスカッションに取り組んだ。3日間にわたって学生に協力を仰いだ結果、参加者は延べ48名(日本人学生24名、留学生24名)となり、計約720分(60分×12グループ)のデータを収集することができた。①と②のデータを収集したのは、ディスカッションというタスクを強く意識する場面と、そのようなタスクを意識しない場面の両方を、分析対象とするためである。 7月までに上記のデータ収集を終えた後は、基礎文献の読み込みと、データの文字化及び分析を進めた。非母語話者が参加する会話を対象とする会話分析研究には、特に理解や聞き取りに問題があった際の修復シークエンス(repair sequence)や、非母語話者性(non-nativeness)への志向に関する研究が多い。それらの先行研究を読み込みながらデータを分析することで、本データからどのような知見が提示できそうか、まとめ始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、1年目はほとんどデータ収集で終わる予定だったが、概要にも記した通り、7月にはデータ収集を終えることができた。データ収集を短期間で終えられたために、その分多くの時間を、基礎文献の読み込みとデータの文字化及び分析にあてることができた。文字化は計720分の内、300分を終えている。2年目の前半には、文字化作業を終えることができそうである。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる平成31年度は、引き続きデータの文字化と、どのような社会的行為を達成するためにそれぞれの成員カテゴリーがデザインされているのか分析を続けるとともに、国内外での研究発表を重ねていきたい。日本語教育学会や会話分析研究会での研究発表を、予定している。研究発表を重ねることで、成果を発信することに加えて他の研究者とつながり、研究に必要なネットワークを構築したいと考えている。
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