4年目となる2021年度は、これまでに関係を築いてきた会話分析、及び日本語教育の研究者らとデータセッションを重ねながら、研究論文の執筆に力を注いだ。依然としてコロナ禍にある状況で、当初想定していた学会への参加などは叶わなかったが、オンラインで他の研究者らとつながることができたのは、大きい収穫である。
2021年度内に論文として投稿することはできなかったが、現在検討を進めている現象について、以下に記す。本研究課題の主な分析対象である国際共修教育のディスカッションでは、参加する日本人学生2名が、一つの質問に対して連続して応答を産出することがあった。そしてそうすることによって、簡単に答えることのできない日本に関する質問(例えば「日本では○○することって失礼ですか?」など)に対して、慎重に一般化を進めながら、協働して一つの応答を構築することに成功していた。そのような手続きは、国際共修教育という場で、非常に重要な意味を持っていると考えられる。本場面では、お互いに持つ「異なる文化」が学習のリソースとなり、教室内で文化の多様性を発露させ、それについての学びが促進されることが期待される。したがって、いかに正確に自らの文化を説明できるか、その際に過度に一般化しないか、という点がそのまま教育の成否を左右するといえる。
|