本研究は、学生が外国語の習得を通じて、社会に出てから求められる能力(主体性、団結力、創造力、コミュニケーション能力など)をどのように身につけることができるかを検討するものである。具体的には学生が主体となりグループで短編映画製作を行うことによって、プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)の観点から外国語教育の改善や発展に関する研究を行った。2018、19年度は主に国内を中心に活動していたが、最終年度の2020年度はより視点を広げ、スイスのローザンヌ大学、フリブール大学、及び東北大学の学生で異文化交流を目的とする短編映画製作プロジェクト(名称PRISE)を立ち上げ、日本の学生がスイスに赴き映画を制作、発表する計画だった。しかし、残念ながら周知の通り新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、渡航が不可能となってしまった。結局、日本語・フランス語・英語から成るPRISEのホームページ(https://wp.unil.ch/projetprise)を作成し、そこにフランス語で作成した映画『ローザンヌの黒猫』の脚本を掲載した。外国語教育を主眼としたプロジェクトで海外の大学と共同で映画製作する例は稀で、本研究を通じてその先駆的活動ができたと思う。また、2019年11月の日本フランス語フランス文学会東北支部会で行われたシンポジウム「フランス語教育の今、これから」に関する報告を、学会誌Nord-est(日本フランス語フランス文学会東北支部会誌13号、2020年6月12日発行、p1-13)で行った。最新のフランス語教育と今後について考えることで、外国語教育に関する重要な点を示唆することができた。今後は、頓挫したスイスとの共同プロジェクトを再開し、日本において短編映画を制作するという計画が残っている為、コロナウイルス感染拡大が終息し、人々の移動が可能になり次第積極的に推し進める予定である。
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