研究課題/領域番号 |
18K12446
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
牛山 さおり 東京藝術大学, 音楽学部, 講師 (40649589)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 器楽レッスン / ドイツ語 / 会話分析 / 特定目的のためのドイツ語 |
研究実績の概要 |
本研究はドイツの大学でヴァイオリンを専攻する日本語を母語とする大学院生と、ドイツ語を母語とする教授間のレッスンの会話を研究対象とする。楽器演奏を媒体とするコミュニケーションは特殊性が高く、従来、楽器の演奏面に着目されがちなレッスンを会話という観点から分析することには、新規性があると言える。この数年間は新型コロナウイルスの流行により、すでに決定していた渡航計画を中止したものの、音声を文字化したデータを完成させ、分析を進めることが出来た。
データにおいては、とりわけ日本人学生の質問会話、そして「弾いていて難しいと訴える場面」を中心に分析、考察を行なった。さらにレッスン中に使用されていた音楽用語を抽出、特徴別に考察し、音楽大学・高校におけるドイツ語教育に何が出来るかをまとめることができた。これらは2つの紀要論文として掲載されている。このような取り組みは、いわゆる「特定目的のためのドイツ語教育」に該当し、音楽でドイツ語圏の大学に留学をしたいと考える学生、および学生を指導する先生方のニーズにも合致する方向性と言えるだろう。
分析を経て得られた知見は、徐々にではあるが、担当する大学および高校におけるドイツ語授業において応用しつつある。例えばドイツ語で受ける器楽レッスンの特徴を動画で示す、使われている音楽用語を解説する、表現意図や弾きたい音を言語化することの大切さを伝えるなどである。このような取り組みは、将来的に留学を視野に入れている大学生・高校生にとって、ドイツ語学習をより身近に感じてもらえるきっかけとなり得る。これからもドイツ語教育の視点から、音楽家の育成に寄与したいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響により、2020年1月以降の出張および学会発表がすべて取りやめになったため、予定を変更せざるを得なくなったが、様々な体制を整え、日本国内ででき得ることを進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
2022年4月時点もなお、海外出張、学会・会議への参加が難しい状況である。国内で出来ることを優先して進めることは出来るので、研究会での発表などへとまとめていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、海外出張などが取りやめとなり、研究費を延長することとなったため
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