研究課題/領域番号 |
18K12451
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研究機関 | 釧路公立大学 |
研究代表者 |
丁 雷 釧路公立大学, 経済学部, 講師 (50710993)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 音声教授法 / 音読能力 / 軽声 |
研究実績の概要 |
1.2018年、鳥取大学と共同で中級中国語学習者のための朗読教材を開発した。2019年、釧路公立大学での中国語Ⅲの講義において、中級レベルの学生を対象にこの教材を用いた。半年間の調査の中で、ビデオカメラと録音設備を使用し、以下の3つの内容を記録した。1)この教材をどのように使用して学生の発音を正すか。2)授業後の時間をどのように利用して朗読練習を行うか。3)学生が長文を朗読する中での弱点。現在これらの内容を整理している段階であり、2020年オンライン形式で公開する予定である。 2.Wechat(微信)を用いて、“在日漢語語音教学資源网” (名称は暫定、https://mp.weixin.qq.com/s/GbeABx7klqB9u6oEihzPww)という公式アカウントを作った。この公式アカウントでは、私(編者)と助手(翻訳、デザイン)が「日本の中国語発音教育 教師の教育参考マニュアル 準備編」を発表しており、現在10編公開した。文章の内容は音声課程をどのように設置すべきかということに関する解答である。これらの文章は、若手の教員の参考になり、音声課程設置の補助となることを目標とする。 3.2019年、「軽声の教授問題からみる朗読訓練の重要性」を発表した。この文章は、2018年の軽声に関する基礎研究の上にあり、中級レベルの学生が比較的に長い文章を朗読する際に見られる軽声の問題について検討した。 4.2019年9月20日に行われた日本中国語学会北海道支部例会において、「軽声はどのように教えればよいか-軽声の発音の質をどのように評価するか」について報告を行った。この報告において、自身の近年の軽声問題に関する研究成果の総括を行った。そして、教師に対して、私がどのように音声処理ソフトを利用して学生が声調の感知能力を高めることを手助けしてきたかを提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在の研究の進捗が当初の計画より遅れている原因は主に2つある。1つは新型コロナウイルスによる影響、もう1つは転勤による影響である。2019年12月以降、集中録音と学生と対面での発音指導が禁止され、2019年後期の新教材の使用状況の調査は止むを得ず中止することになった。また、国内外の学会は中止あるいは無期限の延期となり、研究成果は学会を通して発表することができなかった。また、日本国内でも移動制限がかけられており、学術調査ができない状況である。2020年4月、北海道から島根県に戻り、島根県立大学の教員となった。引越しと赴任の準備に多くの時間がかかったことに加え、現在島根県立大学で短期間でオンラインでの中国語授業の開設を求められているため、新たなオンライン授業の開設に向けた教材や内容の準備にも多くの時間が必要である。このため、科研の時間が圧縮され、研究の進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在の新型コロナウイルスにより先が不透明な状況である。そのため、今後の研究はオンラインの構築と内容の充実を優先的に行う。具体的には、1)携帯の利用者向けにWechatの“在日漢語語音教学資源网”の内容を更新し、「日本の中国語発音教育 教師の教育参考マニュアル」の「実践編」を公開する。2)PC利用者向けに、2020年は新たなサイト(BLOG形式)を開設し、教授動画や音声の誤りを集めたサイトなど(File Maker Proを使用する)を公開する。3)新しい大学で教授法の研究を継続し、Zoomを利用した音声教育を行い、オンライン教育で生じる問題について検討し、どのようにオンラインで学生の発音を指導するか記録する。4)朗読教授法の形式や内容、特にオンライン教育の下で朗読教育をどのように完成させるべきかなどの問題について検討を行う。検討の結果は論文または研究記録の形式で公開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年は所属大学が変わり、新しい大学で講義をしながら、研究計画書の内容に従って調査研究を継続してきた。2019年上半期は主に授業の調査研究やWechatサイトの開設、データ整理などを行い、下半期は主に訪問調査や国内外の学会に参加した。研究計画では、2019年の経費は下半期の調査や学術交流活動に充てる予定であった。しかし、2019年12月の新型コロナウイルスの影響により、中国国内の多くの学会が中止になり、続けて日本国内での学会も中止され、移動も制限されたため日本を離れることも北海道を離れることもできなかった。そのため、2019年の予算はたくさん余っており、これは2020年の学術活動費用として島根県立大学で管理責任を負う。新型コロナウイルの収束後、島根県立大学で調査や学術交流活動を再開する。
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