研究課題/領域番号 |
18K12459
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
鈴木 健太郎 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40757134)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 語源学習 / 意味的意味的透明性 / 形態素の既知性 |
研究実績の概要 |
2019年度は,2018年度に実施した事前調査 (透明性判断課題) の結果を基に目標語を選定し,本調査を行った。本調査の目的は,形態素を利用した英単語の語源学習において,形態素の意味的透明性と形態素の既知性が英単語学習の成果と学習中の注意にどのような影響を与えるかを検証することであった。 本調査では,120名の協力者 (大学1年生) が意味的透明性の異なる目標語 (16語) を3条件 (形態素既知,形態素未知,通常学習) に分かれて学習した。語源学習を行う2条件では,学習時に形態素とその意味を提示した。学習の直後と1週間後に2種類の語彙テスト (i.e., 形態素の手がかり有,形態素の手がかり無) に回答した。また,語源学習条件においては,学習中に語彙のどのようなつながり (i.e., ①目標語の語形⇔目標語の意味,②形態素の意味⇔目標語の意味,③形態素の語形⇔形態素の意味) に対しどの程度注意を向けていたかを問う7件法で問うアンケートに回答した。 調査の結果から,ほとんどのテスト形式において通常学習が最も成績がよく,語源学習が有効となるのは,テスト時に形態素の意味が利用可能である時ということが示唆された。またアンケート結果から,形態素の既知性は,語源学習中の注意の方向に影響を与えていた。形態素が既知の場合,学習者は形態素と目標語の意味のつながりに多くの注意を向けるのに対し,未知の場合はそれ以外のつながりにもより注意を向けることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,意味的透明性と形態素の既知性が語源学習に与える影響を検証する調査を実施することができた。調査結果を国内の学会にて発表し,フロアから研究に対するフィードバックを得ることができた。これらを踏まえ,現在論文の投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の調査の限界点として,学習条件が協力者間要因であったため,語源学習に関する親密度などの個人差が学習成果に影響を与えていた可能性が残る。また,学習の効果については検証できたものの学習の効率性については不明である。これらを踏まえ,より信頼性のある結果を得るために学習条件を協力者内要因にした研究デザインを採用し,さらに学習に要した時間などをの観点から語源学習の効率性を検証する調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの影響により,いくつかの出張が中止となったため。また,論文の投稿先の変更に伴い,英文校正費の支出が2020年度となったため。
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