研究課題/領域番号 |
18K12464
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
浅利 庸子 東京理科大学, 理学部第一部教養学科, 講師 (70631331)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 定型的言語表現 / 流暢さ / 正確さ |
研究実績の概要 |
様々な言語習得レベルの英語非母語話者(n = 196)の定型的言語表現の使用頻度及びタイプを調べるために一分間のモノローグを録音した。その結果、発話者の1)言語レベルと2)定型的言語表現の使用量とタイプの多様性に相関があることが分かった。初級者は全く定型的表現の習得ができていないため、単語を並べて意思を伝えていることが分かった。中級者でもこの傾向は強く、時々 “I think that ~” や “I agree with~” など頻度の高いsentence builderは発話できるもののそのほかの定型的表現の使用はまれであった。上級者になると “it depends on ~” (qualifier) や “I’m not sure but~” (evaluator) などのdiscourse deviceを使用することによって自分の意見を円滑に表現していることが分かった。また、”I mean” や “you know” などのfluency deviceを使うことによって文章と文章の間に生じるポーズを避けていることも分かった。さらに今年は9人の英語話者の評価者に収集した一分間モノローグをすべて聞いて「正確さ」「流暢さ」を評価してもらった。定型表現の使用頻度の高い英語非母語話者は「正確さ」においても「流暢さ」においても高評価を得ることができたことから様々な定型表現を使うことで、流暢でかつ正確に話すことができることが分かった。単語を並べるだけではコミュニケーションを図ることは難しいことが今回の研究からも先行研究からもわかっているため、今後は英語初級者・中級者が効果的に定型表現を習得することができる教授法を探る必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は予定していた日本人英語学習者、196名分のモノローグをすべて録音しその発話を書き起こした。さらに録音したデータを9名の英語母語話者の評価者に聞いてもらい「正確さ」(perceived accuracy)と「流暢さ」(perceived fluency)の評価をしてもらった。収集したデータの分析も終わり、これで去年度に遅れた分も追いつくことができたため今は当初の予定通りの計画に戻っている。
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今後の研究の推進方策 |
令和二年度(3年目)は、令和元年度に集めたデータから見えてきた傾向をもとに定型表現を習得するための教授法を探ることを予定している。具体的には:4月-6月:先行研究の調査。7月-9月:研究のデザインとパイロット実験の実施。10月―2月:本実験の実施。3月:分析及び学会発表。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和二年度は先行研究をさらに調査する必要があるため文献に使用する予定である。
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