研究課題
教室での限られた学習時間で、いかにして効率的に英語コミュニケーション能力を支える文法知識を身につけさせるか。この問題に対処するための一つの方策として、最も効果的な英語学習のスケジュールを特定することが有効であると考えられる。学習時間を変えることなしに、学習の間隔を調整することで、最適な学習条件を作る出すことができる可能性があるからである。2019年度までに、英語スピーキング練習を通じた文法習得に関する実験を行っていたが、その成果としては以下のことを明らかにできた。同じスピーキングタスクを1日にまとめて練習するという「集中学習群」の方と1日ごとに間隔を空けて練習する「分散学習群」に分けて、学習スケジュールの効果を調べた結果、「集中学習群」の方が「分散学習群」に比べて、流暢性が高まるということである。2020年度は、個人差の観点から新しい分析を行うことで、なぜ集中学習群のほうが効果的だったのかを明らかにした。具体的には、(a)外国語習得に関する認知適性(特に記憶に関する側面)が流暢性の発達にどう貢献するか、(b)学習スケジュールを変えることでスピーキング練習に使っている構文(単語・文法)の繰り返しの割合がどう変化するという2点について詳細な分析を行った。その結果、ワーキングメモリ・短期記憶・連合記憶などが、特に集中学習において重要な役割を果たすことが明らかになった。また、分散してしまうことで、構文の繰り返しの割合が少なくなることも記述を行った。前者の結果は国際学術誌の論文として発表され、後者の結果は別の論文として出版を目指し執筆中である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (2件)
Applied Psycholinguistics
巻: in press ページ: Early View
Studies in Second Language Acquisition
巻: in press ページ: 1~14
10.1017/S0272263120000704