研究課題/領域番号 |
18K12474
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
綱井 勇吾 同志社大学, 全学共通教養教育センター, 助教 (20772487)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 日本語教育 / 助数詞 / 集中学習 / 交互学習 / 個人差 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,日本語のモノの数え方(日本語助数詞)を題材に,第二言語の語の使い分け方の学習に及ぼす集中練習(例、「本」の事例を学んだ後に「枚」の事例を順番に学ぶ)と交互練習(例、「本」と「枚」の事例を順不同に交互に混在させながら学ぶ)の効果を検討する点にある。また、集中練習と交互練習の効果に及ぼす個人差要因(流動性知能とワーキングメモリ)と項目要因(事例の典型性)を探求する点にある。 研究1年目にあたる2019年度は、(1)学習実験で使用する刺激づくり、(2)個人差要因を測るテスト選び、そして(3)日本語熟達度を調べるテスト作りの開発を中心に研究を行った。 刺激づくり調査では、日本語母語話者を対象に、日本語助数詞が数えるモノの形や大きさに応じてどのように使い分けられているのかを調査した。 調査には海外経験がほとんどない日本人大学生が参加し、モノを数えるのにもっとも的確な助数詞を1つ答えてもらった。刺激材料には、形状助数詞(本・枚・個・粒、あるいは機能助数詞(台)によって数えられるモノを数え方辞典から選び、著作権フリーの写真素材を検索(もしくは自前で写真撮影を実施)した上で、写真を提示した。 研究成果をひとことでまとめると3点となる。1点目は、最終的な刺激セットとして計100個のモノ(本22・枚22・個22・粒16・台18)を選ぶことが出来た点。2点目は、文献調査の結果から、個人差要因を測るテストとしてレーブン漸進的マトリックス検査とオペレーションスパンテストを選定した点。3点目は、(C)日本語熟達度を調べるテストとして、口頭模倣テスト(日本語音声を聞く→3秒ポーズ→日本語の文を口頭で復唱する)の開発に着手した点である。今後は、日本語熟達度テストの開発を進めると同時に、実験提示ソフトを使用して、学習実験で使用する刺激提示プログラムの開発を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進度は遅れている。計画では2019年度中に日本語助数詞の学習に及ぼす間隔練習と集中練習の効果の検証に取り組み始めるはずであった。しかし、学内業務が多忙になり、また、刺激づくり調査のデータ収集が上手く行かなかったこともあり、データ収集を開始するまでには至っていない。他方、個人差要因を測るテストとして、レーブン漸進的マトリックス検査とオペレーションスパンテスト(ワーキングメモリテスト)を選定・入手できた点は前進である。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度(令和元年)は、実験提示ソフトを使用して、学習実験で使用する刺激提示プログラムの開発を進め、日本語を第二言語として学ぶ人たちがどのように日本語のモノの数え方を学んでいくのか、どのような働きかけをすれば、日本語助数詞の学習を促進できるのかという点を明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集に必要となる被験者謝礼に充当する予定である。この理由として、実験刺激語(日本語助数詞と、その写真の組み合わせ)を選定する作業(写真作成およびデータ収集)に時間がかかり、学習トレーニングを実施するまでには至っていない点がある。
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