研究実績の概要 |
本研究において順次収集してきたデータの分析を行った。Taguchi, Magid and Papi (2009)の質問紙を使用した前年度までの研究で、スペイン語学習と英語学習の違いはpromotion, prevention, Ideal L2 Self, Culture Interestに見られることが明らかになっている。よってこれらの項目においてスペイン語学習と英語学習で異なる学習軌跡を示した学習者を対象にしてインタビュー調査を行った。その結果、これらの値が英語よりスペイン語の方が高い学習者は、スペイン語学習を始めるきっかけにおいて強い動機となる個人的経験を有していること、またスペイン語話者、もしくはスペイン語を学習する仲間との交流の経験を持っていることが示唆された。全体で見るとこれらの値はスペイン語より英語の方が高いが、その中でも英語よりスペイン語において高い値を示す学習者は、前述の個人的体験や交流の機会が要因として働いている可能性がある。国際的に使用できる言語という英語のpromotionの要因を補う形で、スペイン語においてこれらの個人的体験が大きな影響を及ぼしていると言える。 加えて研究1年目で得られた成果をまとめた論集が当該年度に出版された。その他、学習者の学習意欲を高める教育方法としてタスクを重視した指導法(TBLT:Task-based language teaching)の研究、教材作成を行い、タスクを重視した指導法の概説と教材を掲載した図書の出版を共同で行なった。授業への「コミュニケーション・タスク」の導入を行うための適切なタスクの選択や文法の指導法、評価方法や難易度の捉え方などを含む内容であり、これらの指導法を使用した授業づくりが今後の課題となっている。また図書の出版に伴い、タスクを重視した指導法の紹介を含め、言語エキスポの企画で共同発表を行なった。
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