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2018 年度 実施状況報告書

政治的・社会科学的な英語教育学の体系化:批判的応用言語学の理論的研究を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 18K12480
研究機関関西学院大学

研究代表者

寺沢 拓敬  関西学院大学, 社会学部, 准教授 (80772706)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード批判的応用言語学 / 言語政策 / 英語教育 / 批判理論 / 批判的実在論 / エビデンスベーストアプローチ / 小学校英語 / 政策過程
研究実績の概要

2018年度は、社会科学的な英語教育学(あるいはもう少し広く応用言語学・言語政策研究)を体系化するための基礎となる理論的検討を行った。同時に、その実践例として経験的研究も行った。
(1) 理論的な研究として、(A) 批判的応用言語学の学説史的検討、および、(B) エビデンスベーストアプローチに代表される、社会科学における因果推論の適用可能性に関する検討を行った。前者については、批判的応用言語学の理論的背景をなす批判理論 (Critical Theory) に焦点を当て、とくにその学説史の面から検討した。そのうえで、批判的応用言語学と批判理論を接続するうえで障害となる課題を指摘した。また、批判的応用言語学における認識論をめぐる対立(実証主義 vs. 解釈主義)を調停するために批判的実在論の考え方が有用であることを示した。
後者については、言語政策研究において「政策の因果効果」を推定するにはどのようなリサーチデザインが必要か、また、(エビデンスベーストアプローチの単純適用では対応できない)言語政策研究に固有の課題は何かを明らかにした。そのうえで、実現可能性が高いと思われる調査の実例を示した。
一方、(2) 経験的な研究として、(a) エビデンスベーストアプローチの枠組みから英語教育の効果を検討する実証研究、および (b) 英語教育の政策過程の検討を行った。前者では、特定の英語指導法が生徒の英語力に与える因果効果(エビデンス)を明らかにするため、縦断的データを用いた差分の差分法で検証した。後者では、小学校英語に関する各種審議会の議事録やその背後の議論を渉猟し、小学校への英語活動・外国語活動の導入という政策がどのように作られたか(あるいは捻じ曲げられたか)を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度に予定していた研究はおおむね行うことができた。本研究課題にもとづく学会発表・論文執筆・投稿も順調に行うことができた。

今後の研究の推進方策

2018年度の成果を踏まえて、その方向性を継承しながら発展させる。とくに英語教育政策研究・言語政策研究に注目し、これらの基盤としていかなる理論が必要か検討する。

次年度使用額が生じた理由

2018年度、北米への学会参加・発表を予定していたが、事情により参加ができなくなったため、旅費での支出が当初予定より少なくなった。2019年度も、国際学会・国内学会をはじめとして、いくつかの学会に参加・発表予定だが、いずれも遠方のため、次年度使用額を含め計画的に支出したいと考えている。文献調査等に関わる物品費は2018年度と同様の方針で支出予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Evidence-based language policy: theoretical and methodological examination based on existing studies2019

    • 著者名/発表者名
      TERASAWA Takunori
    • 雑誌名

      Current Issues in Language Planning

      巻: 20(3) ページ: 245-265

    • DOI

      https://doi.org/10.1080/14664208.2018.1495372

    • 査読あり
  • [学会発表] 「なんで英語やるの?」の戦後史2018

    • 著者名/発表者名
      寺沢拓敬
    • 学会等名
      関西学院大学言語コミュニケーション文化研究科公開セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 外国語教育の批判的研究のために―批判的実在論と批判理論の検討を通して―2018

    • 著者名/発表者名
      寺沢拓敬
    • 学会等名
      全国英語教育学会第44回大会(京都大会)
  • [学会発表] 政策研究の観点から見た「外部試験」論議2018

    • 著者名/発表者名
      寺沢拓敬
    • 学会等名
      外国語教育メディア学会(LET)2018年度全国研究大会
    • 招待講演
  • [学会発表] どのように良いエビデンスを生み出すか2018

    • 著者名/発表者名
      寺沢拓敬
    • 学会等名
      中部地区英語教育学会2018年度大会
    • 招待講演
  • [図書] 「学ぶ・教える・考える」ための実践的英語科教育法2018

    • 著者名/発表者名
      酒井英樹, 廣森友人, 吉田達弘, 亘理陽一, 寺沢拓敬, 滝沢雄一, 新多了, 大和隆介, 河合靖, 斉田智里, 鈴木渉, 坂本南美, 今井裕之
    • 総ページ数
      336
    • 出版者
      大修館書店
    • ISBN
      9784469246223

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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