研究課題/領域番号 |
18K12480
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
寺沢 拓敬 関西学院大学, 社会学部, 准教授 (80772706)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 英語教育政策 / 小学校英語 / エビデンス / EBPM / 政策過程 / 英語使用 / 社会調査 / グローバル化 |
研究実績の概要 |
2020年度は、英語教育政策研究を体系化するうえで基礎となる理論的・経験的研究を行った。 経験的な研究として、第一に、日本社会における英語使用ニーズおよび英語観に関する大規模調査を実施した(2021年3月)。本調査では、単に日本人の英語使用に関するスナップショットを提供するだけでなく、新型コロナ感染拡大が英語使用やグローバル意識に与える影響を検討することが可能なデザインになっている。本データを分析し、ポストコロナの英語拡散の状況を明らかにする論文を発表予定である。第二に、2019年度に引き続き、小学校英語の政策過程に関する研究をおこなった。具体的には、1980年代半ば(臨教審)および1990年代半ば(第15期中教審)における小学校英語に関する政策過程を分析し、小学校英語が本格化する以前の条件整備がどのように進んだかを明らかにした。 一方、理論的な研究として、英語教育政策研究がいかに体系化できるかを理論的・方法論的に検討した。これまでの先行研究では、言語研究者が散発的かつ局所的に特定の政策事例を分析する傾向があり、体系化が進んでいなかったことを指摘し、そのうえで、他領域(とくに教育行政学・公共政策学)の先行事例を参考にすることで、生産的な体系化が可能であることを示した。具体的には、次の通りである。第一に、英語教育政策過程の分析を理論化した。先行研究では、政策内容の記述的あるいは批判的研究が過度に集中していることを批判し、政策のダイナミズムを批判的に理解するうえでは、過程の研究により注目する必要を指摘した。第二に、エビデンスベースト教育を英語教育に適用することの批判的検討である。エビデンスベースト教育のマニュアル的な論考は数多くあるが、それを英語教育に適用するうえでの具体的なハードルについて論じたものはなく、本研究ではその可能性・不可能性を丁寧に論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染拡大により発表および参加予定だった学会の多くが中止になってしまった。ただ、そうした影響を受けないタイプの理論的・経験的な研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の成果を踏まえて、その方向性を継承しながら発展させる。とくに英語教育政策研究・言語政策研究に注目し、これらの体系化を目指す。また、前年度までの成果をもとに、国内・国外で論文投稿・学会発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大の影響により、予定していた学会発表が行えなかった。2021年度は代替となる学会発表(オンライン学会が中心)および論文執筆に必要な経費(英文校正費を含む)に充当する予定である。
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