2022年度も引き続き、英語教育政策研究の体系化の基礎となる経験的および理論的研究を行った。最終年度ということもあり、これまでの研究を総合するような研究を行った。 第一に、英語教育政策研究を体系化するための基礎情報として、日本の英語教育学の学術トレンドをテキストマイニングにより計量的に明らかにする研究を行った。国際学会および日本語教育学のデータも比較対象として分析に含めることで、日本の英語教育学の特徴を立体的に明らかにすることができた。本研究の途中経過は2022年度中にいくつかの学会で発表したが、論文としては2023年度に出版予定である(ひとつは国内誌、もうひとつは国際誌)。 第二に、理論的研究として、英語教育研究と批判的研究の連関について検討した。とくに、英語圏の批判的応用言語学・批判的言語研究の知見を参考にし、日本の英語教育研究において理論的かつ批判的に検討が必要となる領域(具体的には、新自由主義批判、政策過程批判、実態調査批判)を指摘した。本研究に基づき、学会発表(1件)および業界誌への寄稿(1件)を行った。これ以外にも、この知見に基づいて論文・書籍を執筆する予定である。 第三に、本科研プロジェクトで明らかにした英語教育政策研究の枠組みを具体的な政策事例の批判的分析に適用するために、海外の研究者と共同で政策過程分析の研究を行った。対象事例は、2010年代の日本における大学入試への英語外部試験の導入議論である。本研究は、学術論文としてすでに執筆済みであり、順調に行けば、2023年度中に出版予定である。
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