本研究の目的は、「実技教科内容(体育・家庭・図画工作・音楽)を生かす小学校英語教育を行うことが、児童の英語学習意欲を高める上でも、将来に役立つ実用的なコミュニケーション能力育成を図る上でも効果的であることを理論的・実践的に示すこと」である。 この研究目的に沿い、研究の最終年度においては、5年目の研究に引き続き、CLIL(内容言語統合型学習)に関する理論面および実践面の情報収集に努めた。それは文献研究にはとどまらず、海外に積極的に出て行くことにより、最新の理論や実践の研究動向を探ることである。コロナ禍のため海外での実地研究は延期としていたが、当該年度の9月にオーストリアでのCLIL研修に参加することができた。この研修においては、ヨーロッパの著名なCLIL研究者と意見交換の場が持て、CLILに関する理論面および実践面における日本との類似点や相違点を学んだ。また、ウィーンやグラーツの公立小学校を実際に訪問して、実技教科では音楽や図画工作を視察することにより、日本がこれらの実技教科を取り入れた小学校英語教育を行う場合の参考とすることができた。 研究期間全体を通じては、まず海外研究に関しては、コロナ禍での中断はあったものの、オランダ、フィンランドやオーストリアの公立小学校におけるCLIL授業の観察を行った。これらの授業分析の結果、特に実技教科CLILのどの部分を日本の小学校に取り入れれば効果的なのかを示唆することができた。また、マカオやタイの国際学会参加では、多くの著名なCLIL研究者との情報交換を行うことができた。次に国内研究に関しては、広島県や岡山県の小学校教員と連携してCLIL授業を実施し、その分析結果は体育、家庭科、音楽、図画工作などの実技教科を生かした小学校英語指導のモデル開発に役立った。 以上の研究成果は、その大半をすでに学会口頭発表または研究紀要にて公表している。
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