これまでのように、国ごとの美術史ではなく、文化の交渉史としての美術の歴史を考えるため、19世紀フランスをはじめ中国、韓国、アメリカを旅して制作活動をした明治政府の官吏、高島北海という人物に焦点をあてて研究をおこなった。 二国間の比較をして影響関係をとらえたり、縦割りの美術史を考えるのではなく、「人の動き」に注目した新たな美術史を描くことで、時間や場所を縦横断するような新たな美術の歴史叙述をおこなう。このことにより、「美術」をとおして、私たちには共通のいとなみがあり、ともに生きているという認識を共有することが可能となる。
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