研究課題/領域番号 |
18K12490
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
今野 裕子 亜細亜大学, 国際関係学部, 講師 (10707623)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 移民史 / 法制史 / アメリカ史 / カナダ史 / トランスナショナル・ヒストリー / 法文化圏 / 漁業権 / アジア系漁民 |
研究実績の概要 |
本研究は、19世紀後半から20世紀前半のアメリカ合衆国(以下アメリカ)やカナダで繰り広げられたアジア系漁民排斥の政治を、北米法文化圏における漁業権解釈や漁業行政の史的展開との関連において把捉し直すことを目的とし、「公民」の権利である漁業権が人種や市民権に基づいて制限される過程を、公文書や外交史料等を用いて包括的に検証・再構築することを目的とする。 これまでアメリカ国立公文書館やカナダのブリティッシュ・コロンビア州立公文書館など複数アーカイブにて関連史料の収集にあたってきたが、感染症拡大防止のために海外調査が実施できなくなり、2020年3月以降予定していた研究活動を進めることが困難になった。このため、2020年度は関連する二次文献の調査が中心となった。漁業史に関する文献のみならず、2020年度はボーダーランド研究など隣接する諸分野から新たな知見を得ることを意識した。人の移動や政策の伝播という点において、米加国境地帯の政治・社会を歴史的に捉えることの意義は大きい。また、これまで北米漁業史における人種政治の展開を白人―アジア系漁民という構図でのみ捉えていたが、先住民の法文化や漁撈活動をも分析対象とし、複数の法文化が重層的に絡み合う様相を捉える必要があることを認識し、関連する文献の収集を行った。 2020年度にはこのほか、これまでアメリカで集めた一部の史料を読み込み、第二次世界大戦中の南カリフォルニアにおける商業漁業と国防に関する論文を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症の世界的な拡大により、海外での調査が実施できなくなった。2021年度は引き続き文献収集と分析を中心とした研究活動を行い、これまで集めた一次史料の整理に努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査の実施は困難なことが予想されるため、二次文献の整理と、2019年度までに収集した一次史料の分析を中心に研究を推進する。またオンラインで利用できる史料(判例など)も積極的に活用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症の影響により、2020年3月以降予定していた海外渡航をすべて中止した。このため次年度使用額が生じている。 2021年度は、関連文献の収集と分析が研究活動の中心となる。状況に応じ、国内のアーカイブ調査(外交史料館など)も限定的に行う。
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