研究課題
若手研究
日中戦争は1937年から1941年まで宣戦布告を伴わずに進展していた。宣戦布告を伴わない戦争は、国際法上の戦争とみなされないため、日本は中国における占領地で正規の軍政を敷くことができなかった。このことが、日本の華中(中国中部)支配にもたらした影響について、日本が占領地に樹立した中華民国維新政府・汪精衛政権の政策に注目しながら明らかにした。
日本近代史
日中戦争期に華中に樹立された中華民国維新政府・汪精衛政権による現地支配が具体的にいかに進展したのかを、海関行政や貿易政策などを事例に明らかにした。さらに、そのような「事実上の政府」による支配に対して、イギリスやアメリカなどの国々や中国の現地で活動していたイギリス人やアメリカ人が示した反応を実証的に明らかにした。これにより、宣戦布告を行っていない時期の日中戦争下の占領地支配は、極めて制約的な条件下で進展しており、そのような制約の構造は太平洋戦争開戦に伴って取り払われたことを指摘した。