社会史における意義:天保4年~明治45年まで存在した長善館に着目することで、漢学塾が地域における知識人ネットワークの形成に果たした役割を明らかにできた。また、県会議員・衆議院議員を務めた塾生のその後の動向を追い、彼らが長善館での人脈や修学内容をもとに治水事業に携わり、近代日本の「国土」や「国権」を重んじる政治集団の一角を形成していたことを明らかにした。思想史における意義:二代目長善館館主の三男で、京都帝国大学の漢学者・鈴木虎雄に着目し、その思想形成における「家の影響を明らかにした。史料学における意義:「家」「家族」「家業」に関する包括的な私文書の整理を行い、その構造と伝来を把握した。
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