研究課題/領域番号 |
18K12497
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
荒木 裕行 東京大学, 史料編纂所, 助教 (70431799)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 近世 / 江戸幕府 / 奥右筆 / 政治交渉 / 老中 / 藩 / 御用頼 |
研究実績の概要 |
2019年度は、史料収集および研究報告を行った。 まず2018年度に収集した史料等を用いた学会報告を行った(2019年度歴史学研究会大会近世史部会「政治交渉ルートからみる近世中後期の幕藩関係」において、「幕藩間交渉における非制度的関係の位置づけ」として報告を実施)。同学会報告は,公的な表の交渉ルートと非公式な内々の交渉ルートの実態を検討することで,複眼的で重層的な幕藩関係像を描くことを目的としていた。当該報告では、御用頼規制および老中対客など御用頼と類似的性格を持つ関係を取り上げた。藩と幕府役人との間をつなぐ関係には御用頼をはじめとするさまざまな存在や相互の関係を分析することによって,それらが幕藩間においてどのような位置づけであったのかを明らかにした。 上記報告の討論にて、近世武家社会における奥向の持つ意味やその実態、幕藩間の政治的関係、奥右筆が果たしていた役割など、多彩な論点の存在が浮き彫りとなった。そのため本研究ではそれらの論点を分析していくことにより、本研究の目的である奥右筆の分析による近世国家権力構造の研究について、より一層の進展を図っていくことを計画した。 以上の問題意識・研究計画にもとづいて2019年度に収集した史料は、弘前藩津軽家の史料である弘前藩庁日記・国日記(弘前市立弘前図書館)および交代寄合山名家の史料(江戸川区所在)である。収集はデジタルカメラによる撮影によって主に実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していなかった歴史学研究大会での報告を行い、多彩な論点の存在を明らかにすることができ、また討論において想定以上の研究者からの意見を貰うことができた。 史料収集計画は当初予定よりも遅延しているが、これは上記の報告における論点の整理に重点を置いたためであり、問題はない。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度の収集予定で収集未完了の史料を収集する。歴史学研究会大会報告での成果を踏まえ、さらなる研究成果を論文として執筆する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画にはなかった学会報告を実施し、その準備および報告後の諸論点整理・研究計画再構築に集中して作業を推進した。そのため、当初計画にあった史料収集に未了分が残された。2020年度には収集未了分を計画に基づき収集していく。
|