研究課題/領域番号 |
18K12499
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
加藤 圭木 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (40732368)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 帝国 / 市民社会 / 植民地主義 / 朝鮮 / 地域社会 / 開発主義 |
研究実績の概要 |
(1)関連研究や史料を収集する作業をすすめた。日本国内に所蔵されている史資料に加え、特に韓国で刊行された文献の収集をおこなった(科研費研究員を雇用)。 (2)日本や韓国の歴史認識問題における重要な問題をとりあげ、研究会を開催した。帝国経験を若い世代や市民に伝えていくうえで、現在の歴史認識を規定している状況について、理解を深める必要があるためである。(ア)あいちトリエンナーレにおける「表現の不自由展・その後」と歴史認識問題について、研究会を開催した。(イ)日韓でベストセラーになった『反日種族主義』について検討する研究会を、2度にわたって開催した(科研費アシスタントを雇用)。(ア)(イ)のいずれも、学生・大学院生にも参加してもらい、若い世代の視点からこの問題にアプローチする方法を考察することができた。 (3)学生や市民に向けて、帝国経験のリアリティを伝えるための入門書作成プロジェクトを推進した。本書の構成案を検討するとともに、研究室内で原稿検討会を複数回にわたって開催した。本書の作成を通じて、事実をわかりやすく伝える方法について検討を深めることができた。さらに、歴史問題と向き合う姿勢について、学生が実際に歴史問題と向き合った体験談を踏まえて、考察することができた。 (4)本研究課題の成果を踏まえ、「軍事基地建設と地域社会」「公害と植民地支配」「植民地支配と越境する人びと」「同化政策と地域社会」などのテーマを盛り込んだ一般書の原稿の加筆修正作業をおこなった。これを通じて、帝国経験のリアリティを市民や学生に伝えるための方法を具体的に検討することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、出張による調査が困難であった。特に韓国での調査などをおこなえなかったことが、研究課題の進捗が遅れている最大の理由である。 ただし、その分、研究会と執筆活動に重点を置くことで、大幅に研究を推進することができたため、進捗の遅れをある程度おさえることができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の感染状況を見ながら、判断する。出張による調査が難しければ、史料の収集や研究会、執筆活動に重点を置く方向にシフトして、研究課題を推進する。 史料の収集の方針としては韓国国家記録院の地方行政文書を中心に収集・分析を進める。特に咸興地域の地方議会・地方財政に関する文書を系統的に検討する。 研究会としては、学生や市民の歴史認識をめぐる問題について、現代韓国認識と関係づけながら、検討する機会を設ける。 また、朝鮮植民地化過程の軍事基地建設と地域社会の関係について、鎮海地域を中心に考察し、論文執筆を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、出張による調査が実施できなかったためである。新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえて出張を実施する可能性について探りつつも、難しければ、史資料の収集や研究会の開催、それらに必要なアシスタントの雇用に重点を置くこととする。
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